本村神社は、
熊本県熊本市中央区大江本町に位置する神社です。地元では「味噌天神」という名で親しまれており、特に味噌に関するご利益があるとされています。
概要
本村神社は、日本で唯一、味噌に対する利益があるとされる神社として知られています。そのため、「味噌天神」という通称で広く親しまれています。この神社は、単なる地域の神社としてだけでなく、味噌業界からも特別な存在として認識されています。
祭神
主祭神は菅原道真公ですが、創建当初は御祖天神(みそてんじん)が祀られていました。御祖天神は、味噌の守護神として古くから信仰を集めており、この地が味噌と深い関わりを持つ理由となっています。後に菅原道真公が合祀され、学問の神としても信仰されるようになりました。
由来
神社の創建は、
和銅6年(
713年)にまで遡ります。当時、疫病が流行した際に、薬の神として御祖天神を祀り、その平癒を祈願したことが始まりとされています。その後、
天平13年(
741年)に肥後国分寺が建立されると、その味噌蔵がこの地に建てられ、味噌蔵の
鎮守神として祀られるようになりました。
ある時、国分寺の僧侶たちが食用としていた大量の味噌が腐ってしまった際、神に祈願したところ、お告げがありました。そのお告げに従い、笹の葉を味噌に刺したところ、味噌が美味しく戻ったと伝えられています。この出来事から、本村神社は味噌の守護神として広く知られるようになりました。また、別の説によれば、神衣(みそ)を織る施設が起源であるとも言われています。
1945年(昭和20年)には、戦災によって社殿が焼失しましたが、その後、全国の味噌業者からの多大な支援を受け、再建されました。この出来事は、本村神社が味噌業界全体にとって、どれほど重要な存在であるかを示しています。
祭祀・信仰
例祭は、かつては9月25日に行われていましたが、明治時代の改暦によって
10月25日に行われるようになりました。戦前には、境内に生えている笹の葉を味噌に入れると
酸味が抑えられると信じられており、多くの参拝者が笹の葉を求めて訪れていました。この信仰は、本村神社が味噌と深く結びついていることを示すものです。
交通手段
本村神社へは、
熊本市電(
熊本市交通局)の味噌天神前停留場から下車してすぐです。公共交通機関でのアクセスが便利で、多くの参拝者が訪れています。
まとめ
本村神社は、味噌の守護神としてだけでなく、地域の歴史と信仰を今に伝える重要な場所です。その歴史は古く、多くの人々に支えられてきました。味噌業界からの信仰も厚く、日本各地から参拝者が訪れます。この神社は、熊本の歴史と文化を語る上で欠かせない存在と言えるでしょう。
参考資料
『角川日本地名大辞典 43熊本県』、角川書店、1987年
『
熊本県大百科事典』、熊本日日新聞社、1982年
川口謙二編『日本の神様読み解き事典』、柏書房、1999年
外部リンク
味噌天神(本村神社)(熊本市、「満遊!くまもと」)
*
味噌の天神さん(熊本市、「子ども部屋」)