本牧ブルース

本牧ブルース

「本牧ブルース」（ほんもくブルース）は、日本のロックバンド、ザ・ゴールデン・カップスが1969年2月1日に発表した楽曲です。

楽曲情報と制作背景

本作は、ザ・ゴールデン・カップスにとって通算6枚目にあたるシングルとして世に送り出されました。前作のリリースからわずか2ヶ月という短い期間を経ての発表となりました。

楽曲の作詞は、後に多くのヒット曲を手がけることとなる著名な作詞家、なかにし礼氏が担当しました。作曲は、ゴールデン・カップスの音楽活動に深く関わった村井邦彦氏によるものです。村井氏は本作の編曲も兼任しており、サウンド全体の方向性を決定づけています。

シングル盤のB面には「4グラムの砂」が収められました。こちらの楽曲も作曲は村井邦彦氏、作詞は鈴木健氏となかにし礼氏の共作となっています。

内容と特色

この「本牧ブルース」は、タイトルが示す通り、ザ・ゴールデン・カップスの主要な活動拠点であり、彼らがその音楽性を育んだ地である横浜市本牧を題材としています。しかし、歌詞の中には具体的に「本牧」という地名が登場しないのが大きな特徴です。

特定の地名を挙げずとも、港町特有のけだるい雰囲気、雨の情景、別れや哀愁といった普遍的なテーマを描くことで、聴き手がそれぞれの心に描く「ブルース」を感じ取れるような筆致が試みられたと考えられます。これは、特定の場所に留まらない感情の移ろいや人間の機微を表現しようとする、叙情的かつ普遍的なアプローチと言えるでしょう。

横浜サウンドとの関連

ザ・ゴールデン・カップスは、そのブルースやR&Bに根差した独自の音楽性により、「横浜サウンド」と呼ばれる潮流の中心的存在と見なされていました。彼らの音楽は、当時の日本のグループ・サウンズシーンの中でも異彩を放ち、洗練された演奏力と個性的なボーカルワークで多くの音楽ファンを魅了しました。

本作のリリース当時のレコードジャケットには、「遂に出た!横浜サウンド!!」というキャッチフレーズが大きく記載されていました。これは、この楽曲が単なる一曲に留まらず、ゴールデン・カップスが横浜で培ってきた音楽スタイルやアイデンティティを強く打ち出す意欲作であり、当時の日本の音楽シーンに新たな風を吹き込むものであるという自負が込められていたことを示唆しています。

「本牧ブルース」は、地名を使わずに本牧という場所の持つ空気感を表現した歌詞と、村井邦彦氏によるブルージーかつ都会的なサウンドメイキングが見事に融合した楽曲として、ゴールデン・カップスの代表曲の一つに挙げられます。彼らの音楽性、そして当時の横浜の雰囲気を現代に伝える重要な作品と言えるでしょう。

収録曲

1. 本牧ブルース (Honmoku Blues)
作詞：なかにし礼／作曲・編曲：村井邦彦
2. 4グラムの砂 (Sand Of 4 Gramme)
作詞：鈴木健・なかにし礼／作曲・編曲：村井邦彦

この楽曲は、1969年の日本の音楽シーンにおいて、地域性を背景に持ちつつも普遍的な情感を描き出すという点で、特筆すべき存在感を放っています。

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