本直し

本直し（ほんなおし）についての詳細

本直しは、日本の伝統的な飲用製品であり、主にみりんに焼酎を添加して作られます。その割合はほぼ半々で、地域によっては「柳蔭（やなぎかげ）」とも呼ばれていました。江戸時代の風俗を記録した著作『守貞漫稿』によれば、本直しはその名の通り、「飲みにくい酒を手直しする」という意味を持ち、冷やして楽しむ冷用酒として親しまれていたことが特徴です。

江戸時代には、焼酎の一種として位置づけられており、特に夏の暑気払いに冷やして飲まれていました。当時は高級品として取引されており、上方落語の一つである「青菜」では、その文化的背景を垣間見ることができます。また、屠蘇のベースとしても用いられていたことから、特別な行事に関連付けられた飲料でもあります。

現在の法的定義では、本直しは「飲用みりん」と呼ばれ、税法上は「本みりん」とは異なる扱いを受けました。かつて、「本みりん」は高い税率が課されていた一方で、飲用みりんは相対的に低い課税が適用されていました。しかし、1990年代にWTOの勧告により、日本における酒税の見直しが行われると、ウィスキーの税率は下がったものの、焼酎の税率は逆に上昇しました。この状況下で、本直しは料理酒と見なされ、特に注目されることはありませんでした。

その後、一部の焼酎やみりん製造業者は、本直しを「節税焼酎」としての商品化を図り、1990年代末には飲用酒としての販売量が大幅に増加しました。しかし、2000年に大蔵省（現在の財務省）が酒税に関する改正を行った結果、焼酎を多く含む飲用みりんは、焼酎と同様の税率が適用されることとなり、本直しの需要は急激に減少しました。

現在、本直しを製造・販売している業者は限られており、その影響で市場ではあまり流通していません。伝統的な飲用文化としての本直しは、かつての賑わいからは遠くなりつつありますが、その存在意義や魅力は今でも多くの人々の記憶に残っていることでしょう。

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