本興寺 (湖西市)

本興寺の概要

静岡県湖西市に位置する本興寺（ほんこうじ）は、法華宗陣門流に所属する仏教寺院です。山号は「常霊山」で、法華経の自我偈「常在霊鷲山」に由来し、院号は「大悲院」と命名されています。ここには本尊として三宝尊が祀られており、また、長勝院、光明院、玉葉院、東光院の四つの塔頭があります。特に、法華宗の東海本山として、宗教的、文化的な影響力を持つ寺院として知られています。

歴史的背景

本興寺の歴史は南北朝時代に遡り、弘和3年（1383年）に始まります。この時、陣門流の創始者である日陣が東海地方を歴訪中、薬師堂の僧と法戦を行いました。日陣はその僧の法説を論破し、その僧は大慈悲院日乗と名を改めました。日乗は本興寺の開山として認められ、以来、药师堂は「常霊山本興寺」と改名され、この地域の法華宗の布教の拠点となりました。その後、江戸時代には10万石の格式を持ち、徳川将軍家の三つ葉葵の使用を許されたことで、さらに寺の地位を確立しました。

文化財と見どころ

本興寺は数多くの文化財を有しており、特に重要文化財として国から指定されているものがいくつかあります。中でも、本堂は1552年に建立された寄棟造りで、茅葺き屋根が特徴です。また、絹本著色法華経曼荼羅図や紺紙金字法華経の巻物など、貴重な文献も多数所蔵されています。さらに、静岡県指定の有形文化財である奥書院や、湖西市指定の山門、中門、千仏堂、客殿なども見所の一つです。

特に山門と奥書院は、かつての吉田城の大手門と城の御殿が寄進されたものであり、歴史的価値が高いとされています。また、本興寺内には美しい日本庭園もあり、これは小堀遠州の作庭とも伝えられています。この庭園は大書院や久世家の奥書院と共に景観を彩り、訪れる人々に安らぎをもたらします。

庭園や書院の見学には拝観料が必要ですが、その価値は十分にあると思われます。さらに、本堂近くには北原白秋の歌碑も設置されており、彼の詩に触れながら静かな時間を過ごすことができます。

アクセス

本興寺へのアクセスは非常に便利で、JR東海道本線の鷲津駅から西へ徒歩10分の距離にあります。また、湖西市が運営するコミュニティバス（コーちゃんバス）を利用することもでき、「本興寺前」停留所で下車すれば、すぐに寺に到着します。

本興寺はその豊かな歴史と文化財、そして美しい庭園で知られる寺院であり、訪れる価値のあるスポットです。静かな環境の中、仏教文化に触れ、心を落ち着けるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

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