本荘駅 (岐阜県)

本荘駅：岐阜のローカル線の歴史を刻んだ駅

岐阜県岐阜市に存在した、名古屋鉄道鏡島線の駅、本荘駅。その歴史は、1924年、美濃電気軌道鏡島線の開業と同時に始まりました。当時、駅周辺は稲葉郡本荘村の中心地であり、駅は地域の重要な交通拠点として機能していました。

鏡島線の千手堂駅から鏡島駅間の開業当初は専用軌道でしたが、その後、道路事情の変化に伴い、1950年には併用軌道へと切り替えられました。この変更工事のため、本荘駅を含む区間は一時休止されましたが、同年7月には工事が完了し、営業を再開しています。

1930年には美濃電気軌道が名古屋鉄道に合併され、本荘駅も名古屋鉄道の駅となりました。その後、昭和30年代に入るとモータリゼーションの進展により、利用客が減少していきました。そして、1964年10月4日、鏡島線の廃止に伴い、本荘駅は廃駅となりました。

本荘駅の構造は、相対式ホーム2面2線で、列車同士の行き違いが可能な交換施設を備えていました。近隣の駅としては、鍵屋駅と市民病院前駅がありました。廃駅後は、岐阜バス（当初は名鉄バス）の本荘バス停が、鉄道の代替交通手段となりました。

本荘駅の変遷は、日本の地方鉄道の盛衰、そしてモータリゼーションの進展による社会構造の変化を象徴的に示しています。専用軌道から併用軌道への変更、駅員配置の中止、そして最終的には廃駅という歴史は、地方交通のあり方が時代と共に変化してきたことを物語っています。

現在の本荘駅周辺は、区画整理により地名も変更されていますが、かつては活気に満ちた地域の中心として、多くの人々の生活を支えていた鉄道駅であったことは間違いありません。本荘駅は、岐阜市の歴史、特に交通史を考える上で、重要な位置を占める存在と言えるでしょう。

年表

1924年（大正13年）4月21日: 美濃電気軌道鏡島線 千手堂駅 - 鏡島駅間開業と同時に本荘駅開業
1930年（昭和5年）8月20日: 美濃電気軌道が名古屋鉄道に合併
1950年（昭和25年）6月10日: 併用軌道化工事のため、千手堂駅 - 森屋駅間（本荘駅を含む）休止
1950年（昭和25年）7月11日: 併用軌道化工事完了、営業再開
1951年（昭和26年）7月1日: 駅員配置中止
1964年（昭和39年）10月4日: 鏡島線廃止により本荘駅廃駅

駅概要

所在地: 岐阜県岐阜市鹿島町（当時、稲葉郡本荘村）
路線: 名古屋鉄道 鏡島線
構造: 相対式ホーム2面2線
隣の駅: 鍵屋駅 - 本荘駅 - 市民病院前駅

本荘駅は、もはや存在しない駅ですが、その歴史は、地域の変遷、交通手段の変化を知る上で貴重な資料となっています。 この小さな駅が担っていた役割、そしてその終焉は、現代社会において地方の公共交通のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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