本震

本震（ほんしん）とは

地震発生時、ある地域で一定期間内に連続して発生した地震のうち、最も規模の大きかったものを「本震」と呼びます。これは、前震や余震と区別するための用語で、一連の地震活動を総合的に捉える際に用いられます。例えば、「○○○（大）地震」という表現は、本震と余震を含めた全体の地震活動を指します。

定義

地震学では、顕著な前震活動がない場合、最初に発生した大きな地震を本震と定義し、その後に続く小さな地震を余震と呼びます。この、最初に発生した地震が最大規模となる地震発生様式を「本震-余震型」と呼びます。しかし、大きな地震発生直後に、その地震活動が本震-余震型であるかどうかを判断することは難しい場合があります。

本震を決めにくい地震

一般的に、一連の地震活動では、他の地震と比較して明らかに規模の大きな地震が本震となります。しかし、同じ程度の規模の地震が複数回発生し、本震を特定することが困難なケースも存在します。地震学的には、このような場合、複数の本震が存在すると考えるか、規模の大きな前震や余震が発生したと解釈するかで判断が分かれます。

例

2004年紀伊半島南東沖地震：9月5日にM7.2の地震が発生し、その約5時間後にM7.4の地震が発生。
2004年新潟県中越地震：10月23日にM6.8の地震が発生した後、同日にM6.3、M6.5の地震が発生。さらに10月27日にM6.1の地震が発生。

防災情報における表現の問題点

2016年の熊本地震では、気象庁が当初、4月14日の最初の大きな地震（M6.5）を本震とみなし、余震確率を発表しました。しかし、実際には16日にM7.3の地震が発生し、地震活動域が拡大するという経過をたどりました。この事例から、以下の点が問題点として指摘されています。

1. 余震確率評価手法の限界：内陸地殻内で発生するM6.4以上の地震に対して、従来の本震-余震型に対する余震確率評価手法が妥当でなくなった。
2. 「余震」という言葉の誤解：「余震」という言葉が、最初の地震より規模の大きな地震や強い揺れは発生しないという誤解を招く可能性がある。
3. 余震確率の解釈：余震確率の値が、一般生活の感覚からすると非常に低い確率であると解釈され、安心情報であると誤解される可能性がある。

これらの問題点を受け、2016年8月の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」に関する報告書で、大地震発生後には、その地震より規模の大きい地震が発生する可能性も否定できないと指摘しました。そのため、地震活動への注意を促す際には、「地震」という言葉を使用し、さらなる規模の大きな地震に対する警戒を怠らないように注意喚起するべきとしています。

関連項目

前震
余震
* 誘発地震

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