札幌市交通局210形電車

札幌市交通局210形電車とは

札幌市交通局210形電車は、1958年に導入された札幌市電の路面電車車両です。この電車は、211〜216号の6両で構成され、「札幌スタイル」と称される丸みを帯びた正面一枚窓のデザインが特徴です。道産電車の330形をモデルにしており、地元の札幌綜合鉄工共同組合によって製造されました。本車両は過去に使用されていた単車110形や120形の主要機器を流用しているため、地元の技術力を活かした製造過程が見受けられます。

車両の概要

製造当初、210形はメタル軸受の台車を搭載し、苗穂工業がその製作を担当しました。215号と216号は1989年に廃車となり、残りの4両はその後も運行を続けています。この210形電車は、2013年から運行を開始したA1200形電車と交替する形での引退が計画されていますが、2021年には213号が廃車となるなど、徐々にその数が減少しています。

改造の経緯

210形は様々な改造が行われており、その中には混雑緩和のための立ち席スペースの設置があります。1970年代には全車がワンマン運転に改造され、視認性を向上させるために赤い帯が車体に追加されました。また、同時期に導入された600形や東京都電8000形の部品が流用され、制御器の変更が行われました。

さらに、1978年から1980年には車体の更新が実施され、外観や内部の近代化が進められました。1988年には215号が「トラムカーレストラン」に改造され、食事の提供が行われる特別な運行も行われました。

近年の改造

近年では、213号が2021年に廃車され、オークションに出品されるなど、運行車両に変化が見られています。214号は広告車両として現在も活躍しており、特にコニサーオイルの広告が施されています。212号は、2012年から2013年にかけて初音ミクをテーマにしたラッピングが施され、話題となりました。

主要諸元

211形電車の技術的な側面も興味深く、全長は12,500mm、全幅は2,230mm、全高は3,675mmで、自重は14.4tです。定員は100人で、出力は37.3kWが2基、駆動方式は吊り掛け式です。台車は札幌綜合鉄工協同組合製のメタル軸受式となっており、堅固な造りがなされています。これらのスペックは、その運行の信頼性と効率的な運行に寄与しています。

結論

札幌市交通局210形電車は、歴史的な背景と地域性を込めたデザイン、様々な改造によって変化し続けてきた特異な路面電車です。その存在は札幌市民にとって十分な価値を持っており、今後も地域交通の要としての役割を果たすことが期待されています。

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