札幌市交通局

札幌市交通局：地下鉄専業への変遷と未来

札幌市交通局は、札幌市民の足として重要な役割を担う公共交通機関です。かつては市営バスや路面電車も運営していましたが、現在は地下鉄（高速電車）事業に特化しています。本記事では、札幌市交通局の歴史、路線、経営状況、そして今後の展望について詳しく解説します。

歴史

札幌市における公共交通事業の始まりは、1927年（昭和2年）の路面電車の市営化でした。その後、1930年（昭和5年）にはバス事業、1971年（昭和46年）には地下鉄事業を開始し、長らく電車、バス、地下鉄の三部門体制で運営されてきました。

しかし、1990年代後半以降の不況により、札幌市の財政状況が悪化。交通事業も大きな負担となり、経営改善が急務となりました。その結果、2004年（平成16年）3月末をもって市営バス事業から撤退し、路線や車両を民営バス会社へ譲渡しました。また、2020年（令和2年）4月1日からは、路面電車の運営を札幌市交通事業振興公社へ移管する上下分離方式へと移行しました（施設は交通局が保有）。

これらの改革により、札幌市交通局は福岡市交通局に次ぐ、2番目の地下鉄専業の地方公営企業となりました。

路線

地下鉄

札幌市営地下鉄は、以下の3路線で構成されています。

南北線: 1971年12月16日開業。麻生駅から真駒内駅を結ぶ。2025年現在16駅。
東西線: 1976年6月10日開業。宮の沢駅から新さっぽろ駅を結ぶ。2025年現在19駅。
東豊線: 1988年12月2日開業。栄町駅から福住駅を結ぶ。2025年現在14駅。

3路線合計の営業キロは48.0km、1日平均乗車人員は585,774人（2013年度）です。

路面電車（札幌市電）

2020年4月1日より、札幌市交通事業振興公社が運営しています。札幌市交通局は軌道整備事業者として以下の路線の施設を保有しています。

1条線
山鼻西線
山鼻線
* 都心線

4線合計の営業キロは8.9kmです。

経営状況

地下鉄建設費の借入金利負担や市営バスの赤字経営などにより、札幌市交通局の経営状況は長らく厳しいものでした。しかし、2004年度から実施された「10か年経営計画」による経費削減や、新たな収益確保策（ドニチカキップの販売、駅構内へのテナント誘致など）が奏功し、2006年度には25年ぶりの黒字化を達成しました。

企業債の残高も順調に減少しており、1998年度のピーク時には5,170億円だったものが、2023年度末には2,112億円まで減少しています。

近年では、インバウンド需要や高齢者の免許返納、若年層の車離れなどにより、地下鉄の利用者が増加傾向にあります。2024年11月には、清田区方面への延伸要望が陳情されるなど、今後の発展が期待されています。

今後の展望

札幌市交通局は、地下鉄専業の公共交通事業者として、引き続き安全・安心な輸送サービスの提供に努めています。老朽化した施設の更新やバリアフリー化の推進、省エネルギー化への取り組みなど、持続可能な交通システムの構築を目指しています。また、清田区方面への延伸計画や新たな技術の導入など、将来に向けた検討も進められています。

札幌市交通局は、市民の生活を支える重要なインフラとして、これからも進化を続けていくでしょう。

ロゴマーク

札幌市交通局のロゴマーク「ST」は、Sapporo City Transportation Bureauの頭文字を表しています。

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