札幌育種場競馬場

札幌育種場競馬場の歴史

札幌育種場競馬場（さっぽろいくしゅじょうけいばじょう）は、日本における競馬の黎明期を象徴する存在であり、1878年から1887年までの10年間、北海道札幌市北区の北海道大学の敷地内に存在していました。この競馬場は、日本国内で最初期の周回コースを持つ競馬場の一つであり、他の競馬場と共に、札幌における競馬文化の発展に寄与しました。

競馬の始まりと札幌の背景

札幌における競馬の歴史は、1872年9月14日、札幌神社の祭礼において行われた競馬に遡ります。この時、北海道には虚無の放出で馬が多く流通し、開拓民たちは初めて馬を所有することになりました。そのため、祭礼に合わせて行われた競馬は、開拓民たちにとって新たな楽しみとなり、琴似街道を舞台にした自然発生的なものでした。この競馬は、馬の持つ用途とは別に、娯楽の一環としても広く親しまれました。

競馬場の設立と発展

1876年には、札幌中心部に仮設の競馬場が設けられ、再び馬匹の改良が求められました。1878年には、官営の本格的な競馬場として札幌育種場競馬場が誕生します。この競馬場では、春季競馬が規則に則って開催され、毎年6月と8月の祭礼の期間中には競馬が行われるようになりました。さらに、1879年には札幌共同競馬会社が設立され、競馬が組織的に運営されることとなりました。

競馬の影響と人気の高まり

競馬の開催に伴い、地元住民の間では馬を飼う文化が広まり、競馬自体もますます人気を博しました。また、明治天皇が1881年に競馬を観覧したこともあって、札幌育種場競馬の注目度はさらに高まりました。この日、北海道産の良馬の披露やアイヌの野馬捕獲術のデモンストレーションが行われ、多くの観衆が集まりました。

運営と資金調達

札幌共同競馬会社は、競馬の運営資金を様々な手段で確保しました。開拓使からの補助金、会員の月給からの一部徴収、出走馬からの手数料、さらには一般観客からの入場料も資金の大きな部分を占めていました。こうして競馬は公式なイベントとして定着し、さらなる馬匹の改良が進展しました。

縁のある人物たち

札幌育種場競馬の運営には、屯田兵本部長の永山武四郎が深く関与していました。彼は競馬が馬匹の改良に欠かせないと訴え、競馬の存続に尽力しました。永山と屯田兵たちの活動により、札幌育種場競馬はしばらくの間継続されることとなりました。しかし、その後政府の方針変更により競馬場は1887年に中島遊園地に移転し、札幌育種場競馬場は姿を消しました。

まとめ

札幌育種場競馬場は、札幌における競馬の草創期を経て、近代的な競馬場として昇華しました。競馬の開催は、開拓民の生活に密接に結びついており、北海道の馬匹の改良を促進する重要な役割も担っていました。札幌における競馬の歴史は、従来の文化や経済の変遷を映し出していると言えるでしょう。

もう一度検索