永山武四郎

明治期の功労者、永山武四郎：北海道開発と軍における活躍

永山武四郎（1837-1904）は、明治時代の陸軍軍人で、北海道開発に大きく貢献した人物です。薩摩藩士の家に生まれ、戊辰戦争を経て陸軍に入隊。その後、北海道開拓使に転じ、屯田兵の統率や北海道庁長官としての活躍など、多岐にわたる功績を残しました。

北海道開拓への貢献

明治5年（1872年）、永山武四郎は開拓使に入ります。屯田兵第1大隊長として西南戦争に従軍したのち、開拓少書記官、屯田事務局副長、屯田事務局長と要職を歴任。屯田兵大佐に昇進し、陸軍少将、屯田兵副本部長を経て、明治21年（1888年）には北海道庁長官に就任しました。2代目の北海道庁長官として、北海道の開発に尽力しました。

特に内陸部の開発に力を注ぎ、前任の岩村通俊と共に上川原野の視察を行い、屯田兵村（後に永山村と改称）の建設を推進しました。また、本州からの移住促進のため、「上川離宮」建設構想を推進しました。この計画は、東京や京都に並ぶ新たな都市を上川に建設するという壮大なものでした。政府からも好意的な意見が出されましたが、法制局の反対により頓挫。しかし、その代替案として上川への離宮建設が実現し、旭川の発展に大きく貢献しました。

永山武四郎は、屯田兵を掌握する軍部内の一大勢力でしたが、政治的な野心は持たず、中央政府の政治抗争にその力を用いることはありませんでした。彼の行動原理は常に北海道への貢献であり、その生涯は北海道への深い愛情と献身で貫かれていました。

軍事キャリアと晩年

北海道庁長官在任中には屯田兵司令官にも就任。明治28年（1895年）には臨時第7師団司令官に任命され、同師団が正式に第7師団となった際には師団長に就任。同年、男爵に叙せられ、明治33年（1900年）には陸軍中将に昇進しました。

軍を退役後、明治36年（1903年）には貴族院議員に勅選。しかし、翌年上京中に病に倒れ、5月27日に逝去しました。その遺言は「我が躯は北海道に埋めよ。必ずやかの地をロシアから守らん」というものであり、北海道への強い愛国心を示しています。

功績と記憶

永山武四郎は、北海道の開発に多大な貢献を果たしただけでなく、軍人としても高い能力を発揮しました。彼は北海道の開拓に人生を捧げた人物であり、その功績は現在も北海道各地に残る地名や史跡、そして人々の記憶に刻まれています。上川神社には歌碑と記念碑が建立され、永山神社には銅像も建立されています。また、彼の生誕地である鹿児島市や、かつての邸宅があった札幌市などにも、その業績を伝える史跡が残されています。

彼の功績は、北海道発展の礎を築いたこと、そして、常に北海道の未来を見据え、その発展のために尽力したことにあります。永山武四郎という人物は、日本の近代化、そして北海道開拓の歴史において、重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。彼の遺志は、北海道の未来を担う人々へと受け継がれているのです。

親族

永山武四郎の長男である永山武敏も陸軍大佐を務め、貴族院男爵議員、霊友会会長を歴任しました。孫の永山武臣は文化功労者で、松竹会長や日本演劇興行協会長を務めた人物です。また、四女の阿部ミツ（光子）は、阿部みどり女として俳人としても知られています。これらの親族もまた、それぞれ異なる分野で活躍し、日本の社会に貢献しました。

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