札幌銀行

札幌銀行（さっぽろぎんこう）

株式会社札幌銀行は、かつて北海道札幌市に本店を置いていた第二地方銀行で、2008年10月14日に北洋銀行に合併されました。通称は「札銀（さつぎん）」で、統一金融機関コードは0502でした。合併直前の店舗数は64店舗でした。

沿革

創業

札幌銀行は、1950年12月に北海道無尽株式会社として創業しました。これは、北海道拓殖銀行（拓銀）出身の道家斎次氏らが中心となり、庶民金融機関として設立されたものです。創業時の本店は札幌市南2条西3丁目にあり、北海道内に9支店11取次所を開設しました。

1951年10月20日には相互銀行業に転換し、株式会社北海道相互銀行（通称：道相銀）に社名を変更しました。ひらがなの「どーそーぎん」という通称も使われていましたが、ここでは「道相銀」として記述します。

設立当初から道家氏が社長を務めましたが、1969年11月28日に同じ拓銀出身の水出久雄氏に社長を譲りました。水出氏は1971年9月9日に東京支店を開設しましたが、拓銀や北海道銀行が進出していた青森県、愛知県、大阪府などには進出しませんでした。時期は不明ですが東京支店からも撤退し、2008年10月10日時点では北海道内のみに支店がありました。水出氏は1995年9月4日に死去しています。

普銀転換

水出氏の後を継いで社長となった潮田隆氏も、拓銀出身の役員でした。潮田氏は拓銀時代から個人融資の重要性を主張していましたが、バブル景気の中で不動産開発などへの融資を拡大していた拓銀の首脳陣と対立し、道相銀に出向することになりました。この潮田氏の更迭が、後に道相銀を救うことになります。

潮田氏は道相銀で個人融資を推進し、1987年には50万円以内の融資を50分以内に回答する「スピードローン50」を開始しました。これにより、1986年から1988年の2年間でローン残高が20倍に増加しました。1989年2月1日に銀行法の改正に伴い、普通銀行へ転換し、道相銀から札幌銀行へと名称を変更しました。また、この時点で潮田氏は社長から頭取に肩書きが変わりました。札幌銀行は個人向けローンで知られるようになり、消費者ローンのパイオニアとして業界を牽引しました。拓銀や道銀とは異なり、中小零細企業向け融資と個人向けローンに強みを持ち、差別化を図ることで生き残りを図りました。

1990年には、ディーシーカードと共同で札幌カードを設立しました。

バブル崩壊後、北海道経済が長期低迷する中、1997年11月17日に拓銀が経営破綻しました。大蔵省からの打診を受け、札幌銀行は拓銀の受け皿金融機関として名乗りを上げましたが、潮田氏への復讐を恐れた拓銀首脳が札幌銀行への営業譲渡を拒否し、最終的に北洋銀行に営業譲渡されました。潮田氏は1994年に頭取を退任し会長となりましたが、後継の川西徹頭取の死去に伴い会長兼頭取に復帰し、1998年に吉野次郎氏に頭取職を譲りました。その後、2000年から2007年6月26日まで相談役を務め、2011年6月19日に死去しました。

北洋銀行との経営統合

吉野次郎氏が頭取に就任後、札幌銀行は1999年に北洋銀行と包括的業務提携を結び、2001年には共同で持株会社「札幌北洋ホールディングス」を設立しました。ATMの相互開放などを実施し、顧客の利便性向上を図りました。

2008年10月14日には、システム統合と同時に北洋銀行と合併しました。存続会社は北洋銀行となりました。合併は対等合併として扱われましたが、一部報道では吸収合併と報じられました。合併により、個人ローンに強みを持つ札幌銀行のノウハウを活用し、30億円の経費削減を目指しました。

旧本店ビルの一部は、商工組合中央金庫札幌支店が北洋銀行札幌営業部と共用していましたが、2013年に本店営業部と統合されました。その後、跡地には札幌信用金庫本店が新本店ビル建設のため移転していましたが、2016年5月に新ビル竣工のため撤退しました。さらに、商工中金も新店舗に移転しましたが、2017年11月より北洋銀行札幌南支店の仮店舗として使用されました。旧本店ビルは平和不動産に売却され、同社は隣接する北海道銀行本店ビルを含めた再開発を計画しています。

合併後の役員人事では、北洋銀行の横内龍三頭取が引き続き頭取を務めることが発表された一方、札幌銀行の吉野次郎頭取は「経営陣に参加する」と述べるにとどまりました。吉野頭取は、「札幌銀行の名がなくなるのは寂しいが、将来を考えると顧客や行員に理解してもらえるのではないか」と語りました。

地方自治体との取引

札幌銀行は、北広島市および上川管内当麻町の指定金融機関でしたが、2008年10月の合併により北洋銀行に引き継がれました。2004年までは上川町も指定金融機関でしたが、同町からの支店撤退に伴い、上川中央農業協同組合に変更されました。

閉鎖した店舗

札幌銀行は、北海道相互銀行時代を中心に東京への支店進出や札幌市内の店舗拡大と引き換えに、道北やオホーツク海側など地方部を中心に店舗閉鎖が相次ぎました。その理由として、他金融機関との過当競争、新電算機の導入困難、預金量の低迷などが挙げられます。閉鎖された店舗の多くは、拓銀が引き継ぎました。

その他

移動窓口店舗「バンクル号」を所有し、札幌競馬場内で営業していましたが、合併準備に伴い2008年10月5日に営業を終了しました。

イメージキャラクター

ジャングル大帝レオ：1990年代前半にテレビCMに出演し、ノベルティグッズにも登場しました。
大泉洋（TEAM NACS）：アルカ・X-アルカのCMなどに出演し、統合後も北洋銀行のCMに出演しています。

もう一度検索