上川町

北海道上川町：大雪山のふもとに広がる魅力的な町

北海道上川郡の中部に位置する上川町は、雄大な大雪山系の懐に抱かれた町です。黒岳への登山口として知られる層雲峡温泉は、北海道有数の温泉街として多くの観光客を魅了し、その周辺には、紅葉の名所として名高い大雪高原温泉があり、秋の美しい景観は「日本一の紅葉」と称賛されています。

町名の由来：石狩川上流とアイヌ語の地名

上川町という町名は、石狩川の上流に位置することに由来しています。現在の町の中心地付近はかつて「留辺志部（るべしべ）」と呼ばれており、これはアイヌ語の「ルペㇱペ（ru-pespe）」に由来し、「峠道」を意味します。1920年代、愛別村からの分村運動と鉄道建設が本格化すると、新村の名称と駅名が問題となりました。鉄道当局は「石狩留辺志部」を提案しましたが、長すぎることや語呂の悪さから却下され、住民による新たな名称案の検討が始まりました。最終的に「上川」に決定し、駅名にも採用されたのです。なお、上川郡や上川地方の命名に関連するアイヌ語「ペニウンクㇽコタン（peni-un-kur-kotan）」は、上川町名の直接の由来ではありません。

自然環境：山々、河川、湖沼に囲まれた地域

上川町は、北見山地、石狩山地、大雪山など、山岳地帯に位置し、石狩川の最上流に当たります。チトカニウシ山、ニセイカウシュッペ山、石狩岳、黒岳など、多くの山々が町を取り囲み、大雪湖や浮島湿原といった湖沼もあります。豊かな自然環境は、観光資源としてだけでなく、町の経済活動にも重要な役割を果たしています。

気候：寒暖差の激しい大陸性気候

上川町の気候は、ケッペンの気候区分で湿潤大陸性気候に分類されます。寒暖の差が大きく、気温の年較差、日較差ともに大きいのが特徴です。特に冬季は厳しく、-25℃前後の気温が観測されることも珍しくありません。降雪量も多く、特別豪雪地帯に指定されています。

歴史：分村から町制施行、そして観光地の発展

上川町は、1921年（大正10年）に愛別村から分村して誕生しました。石狩川の上流という地理的な位置から「上川」と名付けられました。その後、1952年（昭和27年）に町制を施行し、上川町となりました。

明治時代には、松田市太郎や松浦武四郎が、大雪山系を探検し、層雲峡温泉を発見しました。昭和天皇、香淳皇后も上川町を訪れ、層雲峡温泉に宿泊されたこともあります。氷瀑祭りなどのイベントも開催され、観光地として発展を遂げてきました。

経済：畜産、農業、観光が支える地域経済

上川町の経済は、畜産（アンガス種肉用牛の飼育、酪農）、畑作農業、林業、そして観光産業が中心となっています。特にニジマスの養殖は、長年にわたり道内一の生産量を誇り、温泉旅館での料理や土産物として利用されています。層雲峡温泉や大雪山国立公園といった観光資源は、町の経済に大きな貢献をしています。

行政、教育、交通：地域のインフラと教育機関

上川町には、町役場、上川中央農業協同組合、上川郵便局などの公共機関があり、地域の生活を支えています。教育機関としては、北海道上川高等学校、上川中学校、上川小学校があります。交通面では、JR石北本線の上川駅、旭川空港へのアクセスも良好です。大雪山黒岳ロープウェイは、登山客やスキー客でにぎわう観光拠点となっています。また、旭川紋別自動車道が町内を通っており、交通の利便性も高まっています。

観光：大雪山国立公園と層雲峡温泉

上川町の最大の魅力は、なんといっても大雪山国立公園です。黒岳への登山、銀泉台からの赤岳登山、大雪高原温泉での散策など、多くの観光ルートがあります。層雲峡温泉は、流星の滝、銀河の滝などの美しい滝や、柱状節理の岩壁など、見どころ満載です。冬には氷瀑祭りが開催され、大氷像が制作・展示されます。その他、アイスパビリオンや大雪展望台なども、上川町の観光スポットとして人気があります。

その他：出身有名人

上川町からは、大友潤（社会人野球選手）、高梨沙羅（スキージャンプ選手）、原田雅彦（スキージャンプ選手）、ミドリカワ書房（ミュージシャン）など、多くの著名人が輩出されています。映画『許されざる者』のロケ地にも選ばれ、町は映画産業にも貢献しています。

上川町は、豊かな自然、歴史、文化が調和した魅力あふれる町です。今後も、観光産業や地域産業の発展を通して、さらなる発展が期待されます。

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