朱仝

朱仝（しゅ どう、Zhū Tóng）の物語

朱仝は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する重要なキャラクターであり、四大奇書の一つとしても名高い作品の中で彼の活躍が描かれています。彼は天満星の生まれ変わりとされ、梁山泊第十二位の好漢として存在感を示しています。その美しいあごひげから「美髯公」という渾名が与えられていることは、彼の外見的特徴を反映しつつ、同時に『三国志演義』の武将・関羽を意識したものです。全身の特徴としては、身長が八尺五寸（約257cm）、あごひげが一尺五寸（約45.5cm）にも及び、義の精神を重んじながらも金銭や女性には興味を抱かないというキャラクター性が際立っています。

彼は元々鄆城県の騎兵都頭という役職にあり、親友の雷横と共に頻繁に行動を共にしています。朱仝は晁蓋、宋江といった仲間とも親しい関係を築いています。

物語の中で、朱仝は東渓村における大事件に関わることになります。この事件では、晁蓋一味が蔡京に贈る生辰綱を強奪し、その捕縛に向かうよう命じられた朱仝ですが、宋江の助けにより逃げられてしまいます。さらに、宋江が自身の妾を殺した際には捕縛の命令を受けるも、彼を見逃すという選択をします。

その後、親友の雷横が踊り子の白秀英によって侮辱されたため、逆上した彼は白秀英を殺してしまいます。白秀英は新しい知事の愛人であったため、雷横は死刑を免れず、朱仝は雷横を逃がす役割を果たしました。そして、朱仝は罪の意識から彼も梁山泊へと流れることになります。

滄州に流刑後、知事に気に入られる朱仝は役所で働くことになりますが、梁山泊は彼を求め続けます。すでに仲間となった雷横が朱仝を説得しようとしますが、彼は現在の知事への忠義を貫きます。しかし、梁山泊の乱暴者・李逵の犯した事件によって進退窮まった朱仝はやむを得ず梁山泊入りを決意します。

朱仝は梁山泊に参加した後、多くの戦いで活躍します。青州、華州、芒碭山、曾頭市、東昌府攻めなどでの戦いでは、彼は騎馬軍の重要なメンバーとなります。百八人の好漢の中では第十二位に置かれ、騎兵軍八虎将としてもその名を馳せます。過去の相方である雷横とともに南口の第三関門を守備し、さらに宦官童貫の攻撃にも冷静に対処します。

朝廷からの招聘を受けた後、大遼征伐や方臘征伐では多くの敵将を討ち取るなど数々の功績を挙げます。物語では、朱仝は都東京へ凱旋し、最終的には保定府都統制になるまで成長を遂げます。彼の物語のラストは悲劇的な結末を迎えることの多い好漢たちの中で、朱仝はその後も軍功を称えられ、最終的には金国軍を打ち破り、太平軍節度使となるという栄光の道を歩みます。

彼のキャラクターは、流刑や戦いを通しての成長を描いており、忠義や仲間との絆、運命といったテーマが巧みに織り交ぜられています。朱仝の一生は、江湖の英雄たちの中で輝きを放つ物語と言えるでしょう。

もう一度検索