朱色5号

朱色5号の概要と歴史

朱色5号（しゅいろ5ごう）は、日本の国鉄が設定したカラー名称の一つです。この色は、従来の朱色4号と比べると明るく、別名として「柿色」とも呼ばれています。1975年に、大宮工場で試験的に相模線のキハ10系気動車に採用されて以降、この色は徐々に広まりました。

朱色5号の導入当初の目的は、塗装工程の簡略化にあります。この新しい色は、特に首都圏の路線に使われることから、「首都圏色」としても知られるようになりました。1978年に、塗装規制が見直されたことにより、この色は首都圏以外の地域にも浸透していきました。そして1980年代にかけて、一般形気動車の標準的なカラーとして広く使用されるようになりました。

この時期、一般型気動車だけでなく、格下げされて使用されていたキハ55系の一部にも朱色5号が採用されました。また、同じく1980年代に登場したキハ40系は、製造時からこの色で塗装されていました。

しかし、国鉄の末期と重なった朱色5号の登場は、複数の課題を引き起こしました。特に、塗装が持つ艶や色合いの維持が難しく、洗車が十分に行われなかったことから、乗客や鉄道ファンの間で評判はあまり良くありませんでした。その結果、「タラコ色」と皮肉を込めて呼ばれることもあり、さらに退色が進んだ場合には「焼きタラコ」とも揶揄されるようになりました。

1985年頃から、国鉄の分割民営化を前に、ローカル線のイメージアップを目指して地域ごとの独自の色付けが進められるようになりました。特にJRが発足して以降、平成時代に入ると朱色5号を使用する例は急激に減少していきました。そして、この色を標準色として他の地域で使用し続けたのは、西日本旅客鉄道（JR西日本）の米子支社のみとなりました。

その後、地域独自の塗装が進む一方で、朱色5号も1980年代の国鉄カラーとして懐かしさを持って再評価される場面が増え、2000年代以降にはリバイバルカラーとしての使用事例も見られるようになりました。興味深いことに、この「リバイバルカラー」としての朱色5号は、国鉄時代に存在しなかった車両にも施されるケースがあります。

また、JR西日本は2009年12月から経費削減策の一環として、塗装工程の簡略化を図り、転属後の再塗装を省略する目的で、他の支社でも気動車の標準加色として朱色5号の単色化を進めています。そのため、国鉄時代には存在しなかったキハ120形200番台も、新たにこの塗装が施されることとなりました。

使用車両

朱色5号が使用された主な車両には、国鉄のキハ10系、キハ20系、キハ35系、キハ37形、キハ45系、キハ40系、キハ55系などがあります。また、JR西日本のキハ33形や新塗装のキハ120形200番台もこの色に塗られています。さらに、国鉄115系電車にも朱色5号が採用されていました。

近似色

朱色4号や上信電鉄で1990年代に使用されていたコーラルレッドは、この朱色5号に近い色として知られています。

朱色5号は、日本の鉄道の歴史において重要な役割を果たしてきました。その変遷を見ることで、日本の鉄道の色彩文化の一端を理解することができるでしょう。

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