杉下右京の冒険

杉下右京の冒険

『杉下右京の冒険』は、人気テレビドラマ『相棒』のノベライズを手がける碇卯人による、オリジナル推理小説の第二弾です。2010年に発表された『杉下右京の事件簿』に続く本作では、2つの異なる舞台で展開される物語が楽しめます。

収録作品

紺碧の墓標

物語は、亀山薫が特命係を去って約半年後から始まります。杉下右京は内村刑事部長の命令で、三宅島で発生した釣り人の溺死事故の捜査応援に向かいます。被害者は大山公宏という男性で、検視の結果、後頭部の傷と緑色の死斑が確認されました。当初は火山ガスを吸って動けなくなった末の溺死と思われましたが、右京は慎重に捜査を進めます。やがて、被害者の不可解な行動が明らかになり、第二の犠牲者も現れます。三宅島の豊かな自然を舞台に、右京は複雑な謎に挑みます。

登場人物

杉下 右京：警視庁特命係の警部。検視官の資格を持つ。
山本 匡：三宅島署刑事課長。地元出身で、過去には本庁刑事部に勤務。
大山 公宏：杉並区のスポーツジムインストラクター。三宅島で溺死体で発見される。
藤本 智己：千葉県在住のサラリーマン。磯釣りが趣味で、大山の第一発見者。
土肥 龍弘：「民宿どい」の主人。釣り好きで、山本とは同級生。
土肥 峰子：龍弘の妻。学生時代は人気者だった。
吉沢 聡：バードウォッチングのため島を訪れた。
岡田 一平：吉沢の仲間。大山の隣人。
谷 健介：吉沢の仲間。
井上 寛：御蔵島駐在所の巡査部長。
木下 泰徳：「御蔵ヴィレッジ」オーナー兼ガイド。御蔵島の自然を愛し移住。
木下 美樹：泰徳の妻。

野鳥とUFO

こちらは、神戸尊が特命係に着任してしばらく経った頃の物語です。国際窃盗団の検挙により、韓国の博物館から盗まれた国宝級の白磁の壺が発見されます。杉下右京は壺を届けるため韓国へ。返却は無事に終わりますが、博物館の館長が「UFOを見た」と語り始めます。右京は、ソウル地方警察庁の尹徳泰と共に、UFOの謎を追うことになります。捜査を進めるうちに、在韓米軍駐留問題が絡む複雑な背景が浮かび上がり、右京の身に危険が迫ります。

登場人物

杉下 右京：警視庁特命係の警部。
神戸 尊：警視庁特命係の警部補。風邪で休養中。
尹 徳泰：ソウル地方警察庁の警監。日本語が堪能。
コリン・エスター：アメリカ合衆国国防副長官。元アメリカ陸軍大将。
朴 承卓：李朝白磁を盗まれた博物館の館長。UFOを目撃。
洪 定陽：ソウル大学の学生。気象予報部のメンバー。
黄 哲柱：野生生物研究部の学生。
姜 華龍：元軍人の男性。監視施設に妻と息子と暮らす。

作品の特徴

本作は、『相棒』シリーズの独特な世界観を踏襲しつつ、オリジナルのストーリーが展開されます。杉下右京の卓越した推理力はもちろん、各エピソードに登場する個性豊かなキャラクターたちも魅力です。「紺碧の墓標」では三宅島の美しい自然が、「野鳥とUFO」では韓国の国際的な緊張感が描かれ、物語に深みを与えています。

書誌情報

タイトル: 杉下右京の冒険
著者: 碇卯人
* ISBN: 978-4-02-250913-0

読者へのおすすめ

『相棒』ファンはもちろんのこと、本格的なミステリー小説を読みたい方にもおすすめです。杉下右京の鮮やかな推理と、魅力的な登場人物たちが織りなす物語を、ぜひお楽しみください。

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