杉原邦生

杉原 邦生（すぎはら くにお）

杉原邦生（1982年9月28日生まれ）は、日本の演出家及び舞台美術家で、団体「KUNIO」の主宰者でもあります。東京都に生まれ、神奈川県茅ケ崎市で成長しました。彼は京都造形芸術大学の映像・舞台芸術学科を卒業し、大学院の芸術研究科を修了した後、演出及び舞台美術の両方に従事し、多様な作品を手がけています。

経歴と活動

杉原氏は2004年にプロデュース公演カンパニー「KUNIO」を立ち上げ、その後2006年から2017年まで劇団「木ノ下歌舞伎」にも所属しました。彼は舞台作品の制作のみに留まらず、2008年から2010年にはこまばアゴラ劇場主催の舞台芸術フェスティバル「サミット」のディレクターを務め、演劇界においても影響力のある役割を果たしています。また、国際舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT」フリンジ部門のコンセプトにも携わりました。

彼は、セゾン文化財団からジュニアとシニアのフェローに選ばれたり、文化庁の新進芸術家海外研修制度に参加したりするなど、幅広い活動を通じてその才能を認められています。教育者としても、2012年から京都造形芸術大学で非常勤講師を務めており、さらに2018年からは跡見学園女子大学で兼任講師を務めるなど、未来の演劇人の育成に重要な役割を果たしています。

受賞歴

彼の作品は数々の賞にノミネートされており、特に2013年には「Corich 舞台芸術まつり」でグランプリを獲得しました。また、2015年の読売演劇大賞には上半期作品賞でノミネートされ、2018年には京都府文化賞奨励賞を受賞しています。

作風

杉原氏は自ら「お祭好き」と公言しており、高校時代から文化祭などの行事に積極的に参加し、「行事王」と称されるほどの情熱を注いでいました。彼が演劇を学ぶ決意をしたのは、大学進学時に「毎日文化祭ができると思った」からです。しかし、大学の実際の演劇教育に対して初めは驚きを隠せず、演劇知識が不足していることへのコンプレックスから、アルバイト代を全て観劇に使うほど熱心に学び続けました。この観劇の習慣は、大学院を卒業した後も続けており、年間約100本もの舞台を観賞しています。

大学時代には演出家・太田省吾の指導を受け、歌舞伎俳優の四代目市川猿之助や舞台美術家の島次郎との出会いが彼の演劇に対する視点に強く影響しました。特に蜷川幸雄の演出する『王女メディア』を観て舞台美術志望から演出家を目指す決意を固めたとのことです。

主な作品と演出

杉原氏が主宰するKUNIOでは、様々な作品の演出を手掛けており、特に太田省吾の『水の駅』やトニー・クシュナーの『エンジェルス・イン・アメリカ』、ウージェーヌ・イヨネスコの『椅子』など重要な作品を手がけています。また、シェイクスピアの『ハムレット』や、古代ギリシャの神話を基にした『グリークス』なども演出し、その作品は独自の解釈を加えた形で上演されています。

また、木ノ下歌舞伎では『東海道四谷怪談―通し上演―』や『三人吉三』など、伝統的な作品の演出も行っており、観客の期待を裏切りつつも深いメッセージ性を含んだ作品を提供しています。彼の作品は、演出の緻密さや空間の使い方、音楽や衣装に対するこだわりが際立っており、独自のスタイルを確立しています。

まとめ

杉原邦生は、演出と舞台美術両方の分野で活躍する多才なアーティストであり、彼の活動は日本の演劇界において重要な位置を占めています。彼が手がける作品は、観客に新たな視点を提供し、演劇の可能性を追求し続けています。

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