杉山元 (俳優)

杉山 元（すぎやま はじめ）

1941年7月22日、京都府に生まれた日本の俳優、杉山 元は、父に撮影技師の杉山公平、兄に元俳優の杉山俊夫を持つ、芸能の世界に縁のある家庭で育ちました。身長は163cmで、立命館高等学校を卒業しています。俳優としてすでに活動していた兄の後を追うように、1960年に日活に入社しました。

日活では、若手俳優として数々の青春映画やアクション映画に出演し、スクリーンでのキャリアを積み重ねました。『英雄候補生』（1960年）や『くたばれ愚連隊』（1960年）など、入社直後から多くの作品に起用され、当時の日活青春映画の一翼を担う存在となっていきます。助演者として、当時のスター俳優たちの脇を固めることも多く、幅広いジャンルの作品に顔を見せました。

杉山 元は俳優業と並行して、音楽の才能も発揮しました。特に歌唱とギターを得意とし、1962年には兄の杉山俊夫をはじめ、日活の同僚であった山内賢、木下雅弘、和田浩治と共に「ヤングアンドフレッシュ」というグループを結成します。このバンドはレコードを発表するなど音楽活動も展開し、さらに彼らをメインキャストに据えた映画作品も複数製作されるなど、多角的な活動で注目を集めました。

1970年に日活を離れ、フリーランスとして活動することを選択した杉山 元は、その後、活動の場をテレビドラマへと移していきます。円谷プロダクションが制作した特撮テレビシリーズは、彼のキャリアにおける重要なターニングポイントとなりました。1971年から放送された『ミラーマン』では、主人公・鏡京太郎を支える地球防衛チームSGMの安田秀彦隊員を演じ、等身大のヒーローを巡る物語の中で印象的な存在感を示しました。続く特撮ドラマ『ジャンボーグA』（1973年）でも、再び安田秀彦役として出演し、前作からのファンを喜ばせました。

『ミラーマン』で共演した俳優たちは、杉山 元の人柄について温かい言葉を残しています。主人公・鏡京太郎を演じた石田信之氏（2019年死去）は、生前に記した自著の中で、杉山氏が俳優を引退して店を開いたという噂を聞いたことに触れつつ、長年連絡が取れていないことから再会を望む気持ちを綴っています。また、石田氏は関連書籍のインタビューで、杉山氏を『ミラーマン』での役柄そのままに、誠実で飾り気のない人物だったと述懐しています。SGMの村上隊員を演じた工藤堅太郎氏も、同書でのインタビューにおいて、杉山氏の実際の性格が安田隊員のように物静かで控えめであったことを証言しており、共演者たちが抱いていた杉山 元への親しみや尊敬の念がうかがえます。

杉山 元は、日活時代からフリー転身後にかけて、多数の映画やテレビドラマに出演しました。日活時代の代表作としては、『キューポラのある街』（1962年）や『愛と死をみつめて』（1964年）、『けんかえれじい』（1966年）などがあり、青春群像劇や社会派ドラマから、裕次郎・旭などのスター作品まで幅広いジャンルで助演を務めました。テレビドラマでは、『大江戸捜査網』シリーズや『太陽にほえろ!』など、時代劇や刑事ドラマへのゲスト出演も確認されています。音楽活動としては、『ミラーマン』の後期エンディングテーマ「戦え! ミラーマン」を、石田信之氏ら共演者と共に歌唱した楽曲も残しています。

俳優引退後の詳しい経緯や現在の消息については、共演者の言及にもあるように、公にはあまり知られていません。しかし、1960年代の日活青春映画の一員として、また1970年代の特撮ヒーロードラマを彩ったキャストの一人として、杉山 元が日本の映像史に残した足跡は確かであり、今なお彼が出演した作品を通じて、その存在は多くのファンの記憶に刻まれています。

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