杉山孝一

杉山孝一：都市対抗野球の伝説

杉山孝一（すぎやま こういち、1963年5月15日 - ）は、岐阜県岐阜市出身の元社会人野球選手（外野手）であり、野球指導者としても名を馳せました。彼の名前は、都市対抗野球大会における通算最多本塁打記録保持者として、野球ファンの記憶に深く刻まれています（2012年現在、14本塁打）。

高校球児から社会人野球へ

杉山は岐阜南高校時代、1981年の第63回全国高等学校野球選手権大会に捕手として出場を果たしました。高校卒業後、1982年に社会人野球の新日本製鐵名古屋（以下、新日鐵名古屋）に入団し、その野球人生を本格的にスタートさせます。

都市対抗野球での輝かしい実績

入団2年目の1983年、杉山は都市対抗野球の東海予選で4番打者を務め、史上初の4試合連続本塁打を達成。本大会でもチームの準優勝に大きく貢献しました。1985年にも都市対抗に出場し、その年のドラフト会議でヤクルトスワローズから6位指名を受けますが、結婚直後で安定した生活を望んでいたこと、そして都市対抗野球への再出場を熱望していたことから、プロ入りを断念します。

しかし、鉄鋼不況による業績悪化の影響で、新日鐵名古屋は地方大会への出場機会が減少し、練習環境も悪化。1986年からの数年間、チームは都市対抗への出場を逃すことになります。そのような状況下でも、杉山自身は1986年の本大会でNTT北陸の補強選手（左翼手）として出場し、3打席連続を含む4本塁打を放つ活躍でチームを準優勝に導き、久慈賞を受賞しました。その後も、1988年には本田技研鈴鹿、1989年にはトヨタ自動車、1990年にはNTT東海からそれぞれ補強選手として都市対抗に出場。1990年には、準決勝でヤマハの吉田篤史から本塁打を放つなど、指名打者として優秀選手に選ばれました。

1991年には西濃運輸、1992年には2年ぶりにNTT東海から補強選手として出場。1993年には、8年ぶりに新日鐵名古屋として本大会に出場し、前回出場時からチームに残る唯一の部員となっていました。1994年には西濃運輸の補強選手として、10年連続都市対抗出場を達成。同大会では、初戦の対住金鹿島戦で2本塁打を放ち、NTT東京との準々決勝で大会通算13本目の本塁打を打ち、丹波健二の記録を更新しました。準決勝でも本塁打を放ち、チームの準優勝に貢献し、4年ぶりに大会優秀選手に選ばれています。同年、コーチ就任の打診を受け、技術的には現役続行に自信があったものの、若手選手の出場機会を増やすことなどを考慮し、引退を決意しました。

指導者としての新たな道

1995年まで新日鐵名古屋でコーチを務めた後、チームを離れ、2003年からは広域複合企業チーム・硬式野球クラブ 東海REXで事務局を担当。2007年には監督に就任し、チームを率いました。2009年限りで監督を退任し、後任の杉本秀生にバトンを渡し、社業に専念しています。

杉山孝一は、その卓越した打撃力と、社会人野球への情熱によって、数々の輝かしい記録と記憶を野球史に刻み込みました。彼の功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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