杉山虎之助

杉山虎之助について

杉山虎之助（すぎやま とらのすけ、1904年1月12日 - 1966年11月20日）は、日本の実業家であり、中部日本新聞社の代表取締役社長を務めたことで知られています。名古屋市出身の彼は、実業界において数々の足跡を残しました。

来歴

杉山は1921年に開成中学校を卒業し、その後1924年に新愛知新聞社へ入社しました。彼のキャリアは、新愛知新聞社が戦時下の新聞統制を受け、競合紙である名古屋新聞と合併した1942年に転機を迎えます。この合併によって設立された中部日本新聞社では、彼は創立委員として関与し、その後工務局長、編集局長を経て1945年に社長に就任しました。

社長在任中、杉山は名古屋タイムズや中部経済新聞といった新たなメディアを立ち上げ、さらに中部日本放送（CBC）の設立にも寄与しました。CBCでは取締役としてその運営に関わったのです。しかし、彼の人事方針が物議を醸し出すこともありました。新愛知出身者を優遇した結果、名古屋新聞出身者からの反発を招いたとも言われています。

1952年には、大きなスキャンダルに見舞われます。彼の側近と度々名指しされる役員が横領容疑で告訴され、杉山自身も事件に関与しているとの疑惑が浮上しました。検察の捜査が進展する中、杉山は自ら責任を取り、全額弁済の上で社長を辞任することを決断し、後任には名古屋新聞出身の与良ヱが就任しました。この事件を受けて、名古屋の財界からは杉山への同情の声が上がり、彼はその後名古屋スポーツセンターの社長に迎え入れられるなど、事業界での活躍を続けました。

中日ドラゴンズへの貢献

杉山はまた、中日ドラゴンズの名付け親としても知られています。1946年から1949年にかけて彼は中部日本新聞社長とドラゴンズの球団オーナーを兼任していました。戦後のプロ野球チームとして名古屋軍や産業軍が活動していた中、杉山は中部日本新聞社が経営に復帰する際、チーム名を決定する役職にありました。当初、「タイガース」という名称を提案しましたが、既に阪神が使用していることから却下されました。その後、「ドラゴンズ」という名前を提案し、その名称が今に至るまでチームのアイデンティティとなっています。

将棋盤のエピソード

杉山には将棋に関する興味深いエピソードがあります。1949年4月8日に豊川稲荷で行われた第8期名人戦で、十四世名人の木村義雄から将棋盤と駒を譲り受けました。この将棋盤は杉山の死後、彼の家族によって保管されていましたが、2010年代に藤井聡太の活躍を受けて再び注目を集めました。遺族はその将棋盤を豊川稲荷に奉納する決定をし、2021年に奉納式が行われました。

最期の時

杉山虎之助は1966年11月20日に心臓麻痺のため亡くなり、享年63年でした。彼の事業界での功績は今でも多くの人々に語り継がれています。中部日本新聞社をはじめとする組織の発展に寄与した彼の姿勢や、地域文化への精力的な貢献は、名古屋の歴史において重要な役割を果たしています。

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