杉村陽太郎

杉村陽太郎とは

杉村陽太郎（すぎむら ようたろう）は、1884年（明治17年）9月28日に生まれ、1939年（昭和14年）3月24日に亡くなった、大正・昭和期の外交官であり、国際オリンピック委員会（IOC）委員です。外交官であった杉村濬（すぎむら ふかし）の長男として東京に生を受けました。

生い立ちと教育

12歳頃に嘉納治五郎が経営する全寮制の家塾「嘉納塾」に入塾し、約5年間、嘉納の薫陶を受けました。その後、高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を経て第一高等学校に進学。1908年（明治41年）には東京帝国大学法学部を卒業し、外務省に入省しました。

外交官としての活躍

1910年（明治43年）には、フランスのリヨン大学で博士号を取得。1923年（大正12年）には駐フランス大使館一等書記官に任命され、その後国際連盟事務局次長、国際連盟帝国事務局長を歴任。1933年（昭和8年）に日本の国際連盟脱退まで事務局長兼政治部長を務めました。
また、1933年には東京帝国大学で法学博士号を取得しています。1934年（昭和9年）から駐イタリア大使、1937年（昭和12年）には駐フランス大使を拝命するなど、外交官として国際舞台で活躍しました。

スポーツ界との関わり

杉村陽太郎は、IOC委員として1940年の東京オリンピック招致に尽力しました。身長185cm、体重100kgを超える巨漢でありながら、若い頃から柔道や水泳など様々なスポーツに親しみ、その実力は傑出していました。1905年の大阪湾9マイル競泳大会では優勝、大学時代には16kmの遠泳でも優勝しています。また、古式泳法の水府流太田派の名手としても知られていました。

フランス駐在時代には、英仏海峡の横断遊泳を企てましたが、当時の駐英大使の反対により断念しています。柔道においても、第一高等学校、東京大学柔道部の主将を務め、講道館で柔道六段を取得するなど、嘉納治五郎の知遇を得ていました。フランス大使時代には、フランスでの柔道普及にも貢献しています。

人物像と家族

杉村陽太郎は、その豪快な性格から一種の名物男として知られていました。弟は東京文理科大学の学長を務めた杉村欣次郎、甥は地球科学者の杉村新です。また、妻の花子は鶴原定吉の四女で、その姉の松子は安川財閥の安川第五郎の妻という姻戚関係にありました。長女の和子は元アルゼンチン大使の青木盛夫に嫁ぎ、その息子（孫）である青木盛久は、ペルー日本大使公邸占拠事件に遭遇しています。また、妹の長男は作曲家の柴田南雄です。

その死と功績

1938年（昭和13年）に胃癌のため帰国し、現職のまま死去しました。日本の外交に大きく貢献した功績により、外務省葬が執り行われました。

著書

『国際外交録』（中央公論社、1933年）

関連作品

NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』（2019年、演：加藤雅也）

外部リンク

杉村陽太郎｜近代日本人の肖像 - 国立国会図書館
ウェブもりおか：盛岡の先人たち：杉村陽太郎

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