杉江清

杉江清

杉江清（すぎえ きよし、1912年4月13日 - 2006年8月1日）は、日本の文部官僚であり、そのキャリアを通じて教育と文化の発展に貢献しました。文部省（現在の文部科学省）において要職を歴任し、国立科学博物館長や公立学校共済組合理事長なども務めました。

人物と経歴

愛知県出身の杉江清は、東京商科大学付属商業教員養成所を経て、1941年に旧制東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。大学時代は、米谷隆三ゼミナールに所属し、経済学の研究に励みました。

戦後の教育行政において、杉江は重要な役割を果たしました。東京明治工業専門学校（現在の明治大学理工学部）教授を経て、文部省に入省。初等中等教育局職業教育課長、中等教育課長、大臣官房人事課長、調査局長を歴任し、教育制度の改革と発展に尽力しました。特に、文部省体育局長としては、東京オリンピックの準備に深く関わり、その成功に貢献しました。

1962年1月から文部省管理局長を務めた後、1964年からは文部省大学学術局長として、大学の学部学科増設や大学紛争への対応など、大学行政の重要な課題に取り組みました。1966年から1970年まで国立科学博物館館長を務め、科学教育の普及と研究の推進に貢献しました。退任後は、公立学校共済組合理事長や私立大学理事、社団法人日本図書教材協会会長などを歴任し、教育界への貢献を続けました。1993年から1999年まで多摩美術大学監事も務めました。

ラオス事件と晩年

1977年、杉江の長男である杉江清一駐ラオス臨時代理大使夫妻が、情勢不安が続くヴィエンチャンで惨殺死体で発見されるという痛ましい事件が発生しました。外務省は強盗による犯行と発表しましたが、杉江清は外務省の対応を「官僚特有の事なかれ主義、形式主義」と批判し、事件の真相解明を強く求めました。真相究明への強い意志を持ち続けましたが、その願いが叶うことはありませんでした。2006年8月1日、心不全のため死去しました。

著作

杉江清は、教育に関する著作も残しています。

（編著）『中学校・高等学校における産業教育の現状と問題点』（雇用問題研究会、1952）
『教職員の福利厚生と共済組合制度 : 公立学校共済組合の運営』（第一法規出版、1980）

杉江清の生涯は、日本の教育と文化の発展に尽くした文部官僚としての貢献と、息子夫婦の事件の真相解明を求める遺志によって特徴づけられます。彼の業績は、日本の教育史に深く刻まれています。

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