杉道助

杉道助

杉道助（すぎ みちすけ、1884年2月20日 - 1964年12月14日）は、日本の実業家であり、第二次世界大戦後の大阪・関西財界を代表する人物です。吉田松陰の血を引く家系に生まれ、実業界、政界で多岐にわたる活躍をしました。

生涯

生い立ちと学問

1884年、山口県山口市に杉相次郎の息子として生まれました。幼少期を萩市で過ごし、山口師範学校附属小学校へ通学。中学校時代は国木田独歩や田山花袋などの自然主義文学に影響を受け、新体詩を制作しました。徳富蘆花の著書に触発され南米への憧れを抱き、上京後、ペルーへ渡航しようとしましたが、日露戦争の開戦により断念。慶應義塾大学部に入学し、スポーツに親しみました。特に野球観戦を好み、ホッケー部を創設するなど、多岐にわたる活動を行いました。

実業家として

1909年に慶應義塾大学部理財科を卒業後、久原鉱業所（後の日産コンツェルン）に入社。その後、武藤山治の仲介で、大阪の綿糸問屋・八木商店の八木与三郎の長女と結婚。1911年に久原鉱業所の大阪支店へ赴任したことがきっかけで、繊維業界へ進出。堺製織所の整理や浪速紡織（現・ダイワボウホールディングス）の経営に携わるなど、繊維業界の発展に尽力しました。大戦景気とその反動による不況を乗り越え、1938年に八木商店の社長、1941年には会長に就任しました。

戦中・戦後の大阪

1929年、大阪商工会議所に入所。日中戦争が始まると、会議所は軍需産業を支援する役割を担い、杉は理財部長や時局対策委員長として活動しました。1941年には副会頭に就任し、大阪商工会議所の統合に携わりました。戦後は、1946年に大阪商工会議所第16代会頭に就任。大阪経済の立て直しに尽力し、大阪経済振興審議会や大阪経済振興連絡協議会を設立。新大阪駅の設置、大阪国際空港や地下鉄網の整備、阪神高速道路公団の設立促進など、都市基盤整備に貢献しました。1950年には新日本放送（現・MBSメディアホールディングス）の社長、1951年には海外市場調査会（現・日本貿易振興機構）の理事長に就任。1952年には日本国際見本市委員会委員長として、大阪国際見本市を実現させました。

政界との関わり

1956年には鳩山一郎の日ソ国交回復交渉の全権顧問、1961年には第6次日韓会談の政府代表を務めるなど、政界にも深く関与しました。また、大阪貿易学院高等学校（現・開明中学校・高等学校）の再建にも尽力し、理事長・校長に就任しました。

晩年

1959年に藍綬褒章、1964年11月には勲一等瑞宝章を受章。同年12月14日に死去。正三位が追贈されました。墓所は山口県萩市の杉家墓地にあります。

系譜

杉家は、吉田松陰の父である杉常道を曽祖父、松陰の兄である杉民治を祖父に持つ家系です。

栄典

藍綬褒章（1959年）
勲一等瑞宝章（1964年）
* 正三位（1964年）

杉道助は、実業家として大阪経済の復興に尽力する傍ら、政界にも関わり、日本の発展に貢献した人物として、その功績は高く評価されています。

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