李国秀

李國秀（イ・グッス）

李國秀（り くにひで、朝鮮語: 이국수、イ・グッス、1957年4月25日 - ）は、神奈川県横浜市出身の元サッカー選手、サッカー指導者。在日韓国人二世。

サッカー選手としてのキャリア

横浜朝鮮初級学校でサッカーを始め、神奈川朝鮮中高級学校を卒業。高校時代には、日本名である「森本国秀」ではなく、本名である「李」を名乗ることを決意し、朝鮮高校を中退。これは、日本社会で在日韓国人として認められたいという強い意志の表れだった。

1973年、16歳で読売サッカークラブ（現・東京ヴェルディ1969）に入団。東京韓国学校に通いながらユースチームで練習を重ね、1974年にはトップチームと正式契約。17歳で日本サッカーリーグ（JSL）2部デビューを果たし、攻撃的MFとして活躍した。当時のチームメイトには、与那城ジョージ、小見幸隆、松木安太郎らがいた。

1976年、読売サッカークラブを退団後、香港のキャロラインヒルFCと契約するも、労働ビザの問題でわずか5ヶ月で退団。1981年には、横浜トライスターサッカークラブ（後の横浜フリューゲルス）に加入し、選手兼助監督としてチームを指導。神奈川県1部リーグに所属していたチームを、わずか4年で日本リーグ1部へと昇格させた。

高校サッカー指導者としての手腕

1987年、桐蔭学園高等部サッカー部の監督に就任。長谷部茂利らを擁し、関東大会優勝、インターハイ出場、高円宮杯プレ大会3位、高校選手権ベスト8と、数々の好成績を収めた。また、駒澤大学との連携を強化し、多くの選手を駒澤大学に進学させ、Jリーガーを育成するルートを確立した。

大学体育会サッカー部の体質に不信感を抱いていた李は、桐蔭学園で育てた選手たちを駒澤大学に進学させることで、一貫した指導体制を築こうとした。このルートから、林健太郎、栗原圭介、渡邉晋、山田卓也、米山篤志、盛田剛平、小林慶行など、多くのJリーガーが誕生した。

桐蔭学園高校監督時代には、30人以上のJリーガーを育成。しかし、その指導方法を巡っては、パワーハラスメントとの批判も上がった。教え子である戸田和幸が、高校時代のハラスメント体験を告白したことが、その象徴的な出来事である。李自身は、これらの批判を否定している。

1996年に桐蔭学園高校サッカー部監督を辞任。その後は、各地の高校サッカーチームで特別コーチを務めた。

プロサッカー指導者としての挑戦

1999年、ヴェルディ川崎の「総監督」に就任。S級ライセンスを持たない李は、松永英機や張外龍を監督に据え、自身は実質的な指揮を執るという異例の体制でチームを率いた。桐蔭学園時代の教え子たちを中心にチームを編成し、J1リーグ1stステージ2位という成績を残した。

ヴェルディ川崎では、経営難による緊縮財政の中、若手選手の育成に力を入れた。強化指定選手制度を利用し、高校生の矢野隼人をJ1リーグに出場させたことは、当時のトピックスとして挙げられる。また、天皇杯ではベスト4に進出するも、準決勝で敗退。試合後には、主審を中傷する発言で処分を受けた。

2000年シーズン終了後、ヴェルディ川崎を退団。その後は、サッカーに関する評論活動や、フットサル場の経営などを行った。

再び高校サッカー指導者へ

2015年、19年ぶりに桐蔭学園高等部サッカー部監督に復帰するも、部員に対するパワーハラスメント報道が再び表面化。2018年3月、監督を交代した。

指導者としての哲学

李は、技術を重視したサッカーを志向し、「サッカーの本質はいつ、どこに、なぜパスをするか」という考え方を重視する。また、選手一人ひとりの個性を尊重し、才能を最大限に引き出すことを目指している。その一方で、金銭に換算した表現を好むなど、独特な言い回しが誤解を招くこともあった。

横浜ベイブリッジユースサッカー大会を創設するなど、ユース年代の育成にも力を注いでいる。

指導歴

横浜トライスターサッカークラブ助監督（1981年-1987年）
桐蔭学園高校サッカー部監督（1987年-1996年、2015年-2018年）
ヴェルディ川崎総監督（1999年-2000年）
清水商業高校臨時コーチ
* 鹿児島実業高校臨時コーチ

もう一度検索