李尚勲

李尚勲（イ・サンフン）：球界を渡り歩いた剛球左腕の軌跡

李尚勲（イ・サンフン、이상훈、1971年3月11日 - ）は、韓国・ソウル特別市出身の元プロ野球選手（投手）、ロック歌手、野球指導者、野球解説者。その独特なキャラクターと、日米韓のプロ野球を渡り歩いた経歴で、多くの野球ファンに記憶されている。

韓国球界での輝かしい実績

ソウル高校、高麗大学を経て、1992年にLGツインズにドラフト1位で入団。契約金は当時の新人最高額となる1億8800万ウォンだった。背番号47は、憧れの西武ライオンズの左腕投手に由来する。1993年にプロデビューを飾るも、ルーキーイヤーの途中で肩を痛めて離脱。しかし、1994年には18勝、1995年には20勝を挙げ、2年連続で最多勝を獲得。その剛球ぶりから「サムソン」の愛称で呼ばれ、LGツインズのエースとして活躍した。

1997年には抑えに転向し、最優秀救援投手のタイトルを獲得。メジャーリーグへの挑戦を希望するも、球団との交渉が難航し、中日ドラゴンズへ移籍することとなる。

中日ドラゴンズでの挑戦

1998年、中日ドラゴンズに入団。背番号は韓国時代と同じ17番。宣銅烈、李鍾範と共に「韓国人三銃士」として期待された。しかし、メジャー移籍騒動の影響で調整不足が響き、NPB1年目は苦戦を強いられる。5月9日の対巨人戦でNPB初登板を果たすも、元木大介にホームランを打たれるなど、不本意な結果に終わった。1999年は、先発、中継ぎとして6勝を挙げ、チームのリーグ優勝に貢献。しかし、日本シリーズでは故障のため出場登録を抹消された。同年オフにはメジャーリーグへの挑戦を表明し、ボストン・レッドソックスへ移籍。

メジャーリーグでの苦闘と帰還

2000年、ボストン・レッドソックスでメジャーデビューを果たすも、目立った活躍はできず、2002年にはオークランド・アスレチックスの3Aチームへ移籍。その後、古巣LGツインズへ復帰した。韓国球界復帰後は、再びエースとして活躍し、チームを韓国シリーズへ導くも、シリーズ第6戦で李承燁に同点3ランホームランを打たれ、チームは敗退。

引退後

2004年にSKワイバーンズへトレードされた後、シーズン途中に現役を引退。引退後は、ロックバンド「WHAT!」のボーカル兼ギタリストとして音楽活動を行う傍ら、ソウルで理髪店を経営するなど、多角的な活動を展開した。2012年からは独立球団「高陽ワンダーズ」の投手コーチ、2015年には斗山ベアーズの二軍投手コーチを務め、後進の育成にも尽力。2019年からは、スポーツテレビ局の野球解説委員として活躍している。

プレースタイルと人物

李尚勲は、MAX150km/hを超えるストレートと、スライダー、カーブ、フォークなどを武器とする本格派左腕。独特の投球フォームから繰り出されるボールは威力十分で、多くの打者を苦しめた。また、長髪をなびかせて投げる姿は、非常に個性的で、多くのファンを魅了した。その一方で、繊細な一面も持ち合わせており、肩の故障や腰痛に悩まされることも多かった。音楽好きとしても知られ、引退後はロックミュージシャンとしても活動するなど、多彩な才能を発揮している。

まとめ

李尚勲は、韓国球界、NPB、MLBという異なる舞台で活躍した、稀有な経歴を持つプロ野球選手である。その豪快な投球フォームと、個性的なキャラクターで、多くの野球ファンに愛された。引退後も、音楽活動や指導者、解説者として、幅広く活躍しており、その動向は常に注目されている。

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