李希憲

李希憲（イ・ヒホン）：李氏朝鮮時代の医官としての生涯

李希憲（イ・ヒホン、1569年6月15日 - 1651年11月28日）は、李氏朝鮮時代に活躍した医師であり、文官でもありました。彼の足跡は、朝鮮医学の発展に大きく貢献したことで知られています。本貫は羽溪李氏、字は可正、雅号は未詳です。

生い立ちと初期の官歴

李希憲は1569年（宣祖2年）に生まれました。一説には1568年生まれとも言われています。彼の出身地は、現在の京畿道城南市盆唐区大庄洞です。父は文科及第者の李戡であり、彼は蔭位の官職に任用され、参奉、内医院主簿、司饔院主簿などを歴任しました。

壬辰倭乱と医官としての歩み

1592年から1597年の文禄・慶長の役（壬辰倭乱）の際、李希憲は王世子であった光海君に随行しました。1600年（宣祖34年）には式年医科に亞元（2位）で合格し、内医院医官となり、医書印出監校官に任命されました。この頃から、彼は医学書の発行に深く関わるようになります。

医学書の編纂と出版への貢献

李希憲は、許浚や楊礼寿らが壬辰倭乱で焼失した医書を復元し、中国の医書を翻訳する事業において、印刷と出版を監督しました。1606年（宣祖39年）には、医林撮要の編纂時に通訓大夫行内医院主簿に兼監校官として、発行を監督しました。1607年（宣祖40年）には、王命により安東に派遣され、病に臥せっていた柳成龍を診察しました。彼は内医院内に印刷局を設置し、尹知微らと共に医書の監督官として、医書の発行と印刷を監督しました。

1608年（宣祖41年）には、許浚らが編纂した「痘瘡集要」を朝鮮語に翻訳した「諺解痘瘡集要」の出版を監督しました。同年には、「諺解胎産集要」の編纂にも携わりました。また、「医林撮要續集」の編纂時には監校官として、発行を監督しました。これらの功績により、彼は定運原從功臣三等に叙勲され、内医院正に昇進しました。

光海君時代の活動

1612年（光海君4年）には、許浚が校正した「纂圖方論脈訣集成」の発刊を監督しました。1613年（光海君5年）には、「新纂辟瘟方」や「辟疫神方」の編纂と出版にも関わりました。同年、許浚が16年間かけて編纂した「東医宝鑑」の出版を監督し、朝鮮医学の発展に大きく貢献しました。これらの功績により、彼は衛聖原從功臣三等に叙勲されました。1615年（光海君7年）には、「新刊補註釋文黃帝內經素問」の発刊を監督しました。

仁祖・孝宗時代の活動と晩年

1619年（光海君11年）に御医に任命され、1623年（仁祖1年）には戻って語義に任命されました。1627年（仁祖5年）には、李仁居の乱鎮圧に協力した功労で昭武原從功臣一等に叙勲されました。1631年（仁祖9年）には嘉善に昇進し、1641年（仁祖19年）には内医院首医に任命されました。その後も、司直、嘉義大夫行忠武衛副護軍などを歴任し、1648年（仁祖26年）には資憲大夫に昇進しました。1650年（孝宗1年）には知中樞府事に至り、1651年（孝宗2年）に内医院首医を退任しました。同年、彼は生涯を閉じ、京畿道広州郡樂生面大庄洞寺洞部落に埋葬されました。

李希憲は、医学の知識と医書出版への貢献を通じて、李氏朝鮮時代の医学発展に大きく寄与した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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