李弘 (唐)

李 弘（り こう）

李弘は、唐朝の皇太子であり、父は第三代皇帝高宗、母は中国史上の著名な女性皇帝である武則天（武照）です。彼は代王としての地位を持ち、後に義宗の廟号と孝敬皇帝の諡号が贈られました。

生涯の概要

李弘は高宗と武則天の第一子として生まれました。彼の生誕年については諸説ありますが、同母の弟である李賢が永徽5年12月（655年1月）に出生していることから、李弘も高宗が即位して間もない頃に誕生したと推測されています。

当時、異母兄として劉夫人が産んだ李忠が皇太子として存在していましたが、武后の意向により李忠は廃立され、李弘が皇太子の座に就きました。彼は高宗から特に可愛がられており、文才と武才に優れていたため、将来を嘱望されていました。また、性格は穏やかで人望も厚かったと伝わっています。

経歴の中で、李弘は監国としても実績を上げ、仁君として評価されていました。しかし、彼の人生は母である武則天との深刻な対立によって暗雲が立ち込めることになります。特に、武后が監禁し命を奪った蕭淑妃の異母姉妹である義陽公主と宣陽公主の解放を求めたことが、武则天の怒りを買ってしまったのです。

急死とその後

上元2年（675年）、武后との面会の直後に李弘は急死しました。この出来事は、当時の記録でも彼が毒殺された可能性が示唆されており、皇太子としては異例の早世とされています。彼の死は、高宗にとっては大きな悲劇であり、直接的な原因が武后の意向にあったとされています。

李弘が亡くなった後、高宗は彼に対して義宗の廟号と孝敬皇帝の諡号を贈りました。子を持たなかった李弘は、弟の睿宗の三男である李隆基を養子として迎え入れ、彼が後に玄宗となることにつながります。

李弘の短い生涯は、唐朝の歴史において影を落としたものであり、彼の死後も多くの陰謀や権力闘争が繰り広げられました。李弘が存在していたならば、唐朝の歴史は異なる展開を迎えていたのではないかという見方もあります。彼の物語は、政治の厳しさと、権力の背後に潜む危険を示すものとして位置づけられています。

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