李承乾

李承乾の生涯とその影響

李承乾（り しょうけん）は、中国の唐の太宗である李世民の長男として生まれました。彼は武徳3年（620年）に恒山王に封ぜられ、武徳7年（624年）には中山王に転封されました。太宗が即位した武徳9年（626年）には皇太子に任命され、将来の皇帝として期待されていましたが、彼の生涯は波乱に満ちていました。

若い頃の李承乾は非常に聡明であり、祖父である太宗が行幸する際には政務の監国を務めるほどの能力を持っていました。彼は基本的な政務をしっかりとこなし、太宗からの信頼も厚かったのです。しかし、成長するにつれて彼の素行は乱れ始めました。遊興を好み、朝廷では忠孝を唱えていたものの、退朝後には不良仲間と遊ぶようになりました。

太宗は彼の行動を正そうと、多くの優秀な教育者を承乾に任命しましたが、彼は改心することなく、逆に諫めようとした教師たちを暗殺する計画を立てるようになりました。このような行動は、彼の心の中の恐怖や不安からくるものであり、特に弟の李泰を敵視するようになった背景も絡んでいます。

承乾はまた、称心という美男を非常に愛しており、このことも彼の人生に影を落としました。貞観16年（642年）、李世民は彼の非行を問題視し、称心を殺してしまいます。この出来事は承乾に大きな悲しみをもたらし、彼は称心を偲ぶために宮殿内に室を作り、像を安置して毎朝晩祭りをするほどでした。その悲しみは深く、数ヶ月間も宮廷に姿を見せないこともあったとされています。

また、彼は称心を埋葬するために突厥風の葬式を企画し、自らもそのような生活をしようと試みました。さらには「自分が天子になれば、思う存分に人を殺し、関わってきた者を静かにさせてやろう」と放言することもありました。これにより、李泰を謀殺しようと試みたり、仲間たちと共に反乱を計画したりしましたが、これらの計画は続けざまに失敗に終わりました。

貞観17年（643年）、李承乾はついに廃位されて庶人となり、黔州に流されることになりました。彼はその地で過ごすことになりますが、貞観18年12月辛丑（645年1月4日）に亡くなりました。死後、国公の礼をもって葬られ、諡は「愍」とされました。

李承乾には二人の子供、李象と李厥がいました。李象は懐州別駕に、李厥は鄂州別駕に任じられました。彼の生涯は、唐朝の激動の時代の中で、皇帝の息子として多くの期待を背負っていたものの、その素行や波乱が悲劇を呼び起こした結果となったのです。彼の伝記は『旧唐書』や『新唐書』に詳しく記されており、彼の不遇な生涯とその影響を今に伝えています。

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