李泰

李泰（り たい）

李泰（620年 - 653年）は、唐の太宗、李世民の四男であり、母は長孫皇后。字は恵褒。魏王に封じられ、後に濮王に立てられましたが、皇位を巡る争いに巻き込まれました。

生涯

武徳3年（620年）に宜都王に封じられた後、衛王、越王と改封され、各地の要職を歴任しました。貞観10年（636年）には魏王となり、相州都督を兼ねました。太宗は李泰が学問を好み、文学を愛したことから、王府に文学館を置き、多くの学者を任用することを許しました。また、李泰は体格が大きかったため、輿に乗って参内することを特別に許可されました。

『括地志』の編纂

貞観12年（638年）、李泰は司馬の蘇勗の勧めで地理書『括地志』の編纂に着手しました。蕭徳言、顧胤、蒋亜卿、謝偃らを召し出し、編纂作業を進め、貞観15年（641年）に550篇にも及ぶ大著を完成させました。

皇太子争いと失脚

当時の皇太子、李承乾は素行が悪く、太宗の寵愛を受けている李泰を警戒していました。褚遂良や魏徴らは太宗に対し、李泰を特別扱いしないよう諫言しましたが、李承乾と李泰はそれぞれ宮廷内に勢力を築き、対立を深めていきました。李泰は柴令武や房遺愛を腹心とし、韋挺や杜楚客に王府の事務を取り仕切らせました。

貞観17年（643年）、李承乾が兵変を企て失敗すると、岑文本や劉洎らは李泰を皇太子に推しましたが、長孫無忌は晋王李治を推しました。太宗は李承乾を譴責し、李泰を皇太子に立てれば兄弟間で争いが絶えないと考え、李治を皇太子に立てることを決意しました。李泰は将作監に幽閉され、全ての官職を剥奪された上で、東萊王に降格されました。

その後、李泰は順陽王に改封され、均州の鄖郷に移り住み、貞観21年（647年）には濮王に進みました。貞観23年（649年）に高宗が即位すると、王府を開設し属僚を置くことが許されましたが、永徽3年（653年）に鄖郷で薨去しました。太尉・雍州牧の位を追贈され、諡は恭とされました。

子女

李泰には李欣と李徽の二人の息子がいました。李欣は濮王の位を継ぎましたが、武則天の時代に酷吏によって摘発され、左遷された後に亡くなりました。李徽は新安郡王に封じられました。

伝記資料

『旧唐書』巻76 列伝第26「濮王泰伝」
『新唐書』巻80 列伝第5「濮王泰伝」

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