李明博竹島上陸

李明博竹島上陸事件の概要

2012年8月10日、当時の韓国大統領であった李明博（イ・ミョンバク）が、島根県に属する竹島（韓国名：独島）に上陸した。韓国の大統領が竹島に上陸したのは史上初のことであり、この出来事は日韓関係を著しく悪化させる要因となった。

上陸までの経緯

李明博大統領の竹島訪問計画は8月9日に明らかになった。日本政府は直ちにソウルの日本大使館を通じて韓国政府に訪問中止を申し入れたが、韓国側はこれを拒否した。李明博大統領は8月10日午前に鬱陵島に到着し、昼食後、竹島へ向かい、午後2時前に上陸を実行した。この際、崔光植文化体育観光相や劉栄淑環境相も同行している。一行は約1時間半竹島に滞在した。

日韓関係への影響

この訪問は、日韓関係を急速に冷え込ませる結果となった。軍事情報包括保護協定（GSOMIA）や経済連携協定（EPA）に関する日韓間の協議は難航し、両国間の政治・外交関係は著しく悪化した。この時期に李明博大統領が竹島訪問を決行した背景には、歴史問題に対する日本への不信感、大統領自身の支持率低下、大統領周辺の金銭スキャンダル、そして日本からの解放記念日である8月15日前の訪問を求める声があったと見られている。さらに、李明博大統領は記者会見で、天皇の「訪韓」と「謝罪」にも言及し、日本側の反発を招いた。

日本政府の対応

日本政府はこの事態に強く反発し、当時の玄葉光一郎外務大臣は武藤正敏駐韓大使を一時帰国させる措置をとった。

独島守護標示石の設置

竹島には、韓国固有の領土であることを示すハングルで「独島」「大韓民国」「2012年夏　大統領　李明博」と刻まれた高さ約1.2メートルの「独島守護標示石」が設置された。当初は上陸当日の除幕式が予定されていたが、天候不良のため19日に延期された。

海外メディアの報道

イギリスのメディア、デイリー・テレグラフは、この出来事を当初「韓国大統領、日本の島訪問」と報道したが、後に訂正している。

李明博回顧録での記述

李明博大統領の回顧録には、大統領就任前から竹島上陸の意思があったことが記されている。

ロンドン五輪での領有権主張

李明博大統領の竹島上陸から数時間後、ロンドン五輪の男子サッカー3位決定戦で、韓国代表の朴鍾佑選手が試合後、上半身裸になり、太極旗とともに「独島はわれわれの領土」と書かれたメッセージを掲げ、大きな議論を呼んだ。

まとめ

李明博大統領の竹島上陸は、日韓関係において重要な転換点となった出来事であり、その後の両国関係に大きな影を落とした。この事件は、領土問題や歴史認識の違いが両国間の関係に与える影響の大きさを改めて示したと言える。

関連情報

韓国による天皇謝罪要求: 李明博大統領の言及は、過去の歴史問題における日本の対応に対する韓国の不満を浮き彫りにした。
外部リンク: 関連する報道や資料が、NHK放送史や韓国のテレビニュース、コトバンクなどで参照できる。

この事件は、単なる領土問題だけでなく、歴史認識、政治的な思惑、国民感情などが複雑に絡み合った結果として発生したと解釈できる。日韓両国は、この出来事から多くの教訓を得る必要があり、相互理解と信頼関係の構築が不可欠である。

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