デイリー・テレグラフ

デイリー・テレグラフについて

デイリー・テレグラフ（The Daily Telegraph）は、1855年にイギリスで創刊された一般紙サイズの新聞です。オンラインではザ・テレグラフ（The Telegraph）の名で配信されており、同じく保守的な内容を持つ姉妹紙サンデー・テレグラフ（The Sunday Telegraph）は1961年から発行されています。

概要

デイリー・テレグラフは、タイムズやガーディアンと並ぶ高級紙として知られていますが、他の高級紙と比べるとゴシップや砕けた内容の記事が多めである特徴があります。イデオロギー的には保守主義に属し、権威主義や自由主義に対しては中道的な立場を取っています。自由主義的な傾向が強いThe Spectatorよりは伝統を重視し、エコノミストに比べて保守的な側面があります。

保守党との関係が深く、同紙には多くのジャーナリストが個人的につながりを持っており、ウィリアム・ヘイグやノーマン・テビットといった保守党の重鎮がコラムニストとして寄稿しています。現首相であるボリス・ジョンソンもデイリー・テレグラフの出身であり、その影響力を感じさせます。一方で、デイリー・メールとの関係について疑問が呈されることがあり、時には「Daily Torygraph」や「Maily Telegraph」と揶揄されることもあります。

課題と批判

ガーディアンは2018年に、デイリー・テレグラフが中国政府系の英字新聞が制作した小冊子「チャイナウォッチ」を折込広告として流していると報じました。この行為は「古典的なプロパガンダ手法」と批判され、信憑性を借りようとした可能性が指摘されました。2020年には、チャイナウォッチに関連する記事が同紙のウェブサイトから削除されたことも報じられています。

歴史

デイリー・テレグラフは、初代バーナム男爵に売却されるまでスレイ大佐が経営していました。以降、1908年にはヴィルヘルム2世の発言を掲載したことで論争を引き起こし、イギリスとドイツの関係悪化を助長する一因となりました。

1937年には、伝統的に保守的な立場をとるモーニングポストを吸収合併し、当初は2紙の併売を計画していましたが、部数の少なさから統合せざるを得ませんでした。この合併は一時的にモーニングポスト・アンド・デイリー・テレグラフという名称になりましたが、数年後に再び現在の題字に戻りました。

政治的な立場としては、2016年のイギリスのEU離脱を決定する国民投票では離脱賛成の立場を明確にしました。

そして、最近のニュースでは2023年11月にアラブ首長国連邦（UAE）とアメリカの合弁企業がデイリー・テレグラフを買収する合意に達しました。買収額は約6億ポンド（約1130億円）で、議会からは「報道の自由を売りに出すべきではない」といった批判も上がっています。

おわりに

デイリー・テレグラフはその伝統ある歴史とともに、今日もなお政治的影響力を持ち続けており、今後の展開にも注目が集まります。

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