李根晳

李 根晳（イ・グンソク）: 韓国空軍の先駆者

李根晳（い・ぐんそく、1917年生まれ）は、朝鮮半島の歴史に名を刻んだ軍人であり、韓国空軍創設の先駆者の一人です。彼の人生は、試練や困難に満ちていましたが、その中で彼が示した勇気と献身は、今日の韓国においても高く評価されています。

幼少期と飛行への情熱

李根晳は平安南道平原郡で生まれ、若い頃から航空に対する熱意を持っていました。彼は1933年に平壌高等普通学校を卒業後、17歳で日本に渡り、新聞社の給仕を経て少年飛行試験に合格しました。これは朝鮮人として初めての快挙であり、その成果はメディアで大々的に報道されました。

1935年には陸軍少年飛行兵として所沢陸軍飛行学校に入学し、その後、熊谷陸軍飛行学校に移りました。同期生からは性格が良く、運動神経に恵まれていたことが語られています。ただし、剣道には苦手意識があったようです。

軍歴と戦争での活躍

1937年に伍長に任官され、その後飛行第64戦隊に所属し、日中戦争やノモンハン事件で活躍しました。太平洋戦争が勃発すると、飛行第77戦隊に転属され、1941年にはビルマのラヘン飛行場に展開しました。彼の優れた判断力と明るい性格は、部隊内での人気を博しました。

1941年12月23日、彼はラングーン飛行場の第一次爆撃に参加し、敵機を相手に交戦し、2機撃墜の戦果を上げることに成功しました。しかし、12月25日の第二次爆撃では撃墜され、飛行機から脱出したものの捕虜となりました。彼はインドシナ方面の捕虜第1号として知られています。

捕虜生活

李根晳は1942年から5年間の捕虜生活を経験しました。多くの捕虜が集まる中、彼は自治体制の整備に貢献し、軍人精神を保つために努力しました。しかし、戦中の不安定な環境の中で、時には反抗的な態度を示すこともありました。特に敬礼拒否事件ではその姿勢が際立ちました。この事件を経て、彼は最終的に英国軍の要求を拒否することになりました。

再び故郷へ

1945年8月の終戦後、李根晳は解放され、韓国空軍の創設に尽力するために帰国しました。彼は歩兵学校で教育を受け、陸軍少尉に任官後、様々な部隊で活躍しました。特に1950年の朝鮮戦争では、空軍の指揮官として重要な役割を果たしました。

戦死とその影響

李根晳は1950年7月4日に敵機との交戦中に戦死しました。彼の戦死は、韓国における大きな損失となり、彼が残した遺志は多くの人々に影響を与えました。戦後、彼は准将に昇進し、太極武功勲章が追贈されるなど、評価されました。彼の人生は、祖国への奉仕と勇気の象徴として語り継がれています。

今日の評価

李根晳は2011年に「7月の6・25戦争英雄」に選定され、その功績が讃えられました。2015年には英雄の切手の一つにも選ばれ、今なおその名は人々に尊敬されています。彼の生き様は朝鮮の歴史の一部であり、未来への希望の象徴として存在し続けています。

もう一度検索