陸軍少年飛行兵

陸軍少年飛行兵（りくぐんしょうねんひこうへい）

陸軍少年飛行兵は、1933年に創設され1995年に制度が廃止されるまで日本陸軍において重要な役割を果たしました。この制度は、若い男子を対象に、現役下士官として航空関連の専門教育を行うことを目的としています。特に、操作技術や航空機の整備技術など、飛行実践を通じた重要な教育課程が組まれていました。

制度設立の背景

1930年代初頭の日本では、航空技術の発展が急速に進んでおり、それに伴って航空操作や整備に必要な人材が求められていました。もともと、陸軍で航空関連の職に就くには、兵として入隊後に選抜試験を経て専門学校へ進む必要がありましたが、航空操縦や整備に必要なスキルが非常に高く、特に操縦者には長い養成期間が求められます。このため、より若い段階からの教育の必要性が唱えられるようになりました。

1921年には、海軍が類似の制度を導入しており、陸軍においても対策が求められるようになりました。最初の試みとして、1932年に所沢陸軍飛行学校内に「少年航空兵制度研究委員会」が設置され、その整備が進められました。

陸軍飛行学校生徒の制度

1933年4月26日に公布された勅令に基づき、陸軍飛行学校に操縦生徒および技術生徒が入校する制度が設立されました。この制度は、訓練を受ける生徒が得られる技術と知識の基礎を固めることを目的としています。受験者は、年齢制限や学歴の条件があり、学力が高等小学校卒業程度であれば応募が可能でした。

1934年には、最初の生徒が所沢陸軍飛行学校に入校し、その後約11年半の間で約4万5,265名が教育を受けました。彼らは、最終的に軍に配属され、現役航空兵としての訓練を積んでいきます。

教育課程

少年飛行兵制度には、基礎教育と専門教育が含まれていました。最初に基礎教育を受け、その後専門技術に特化した教育を行う流れが定められていました。1937年には東京陸軍航空学校が開設され、教育体制が整備されました。この学校では操縦、通信、そして整備の分野での専門的な技術教育が行われ、少年飛行兵として必要なスキルを磨くことができました。

1940年には「少年飛行兵」という名称が正式に定められ、制度の位置付けが明確なものとなりました。彼らは、約1年間の専門教育を経て上等兵の階級を与えられ、その後下士官候補者として部隊に配属されます。

太平洋戦争とその後

1940年代に入ると、太平洋戦争の進展に伴い、少年飛行兵の募集人数が増加しました。従来の数百名規模から、千名を超える人数が毎年の採用に応じるようになり、陸軍航空軍の中でも重要な存在となります。

しかし、戦局が厳しくなる中で、1945年には日本が敗戦し、陸軍少年飛行兵制度は廃止されます。この制度で教育を受けた多くの若者たちは、戦争の影響で命を失ったり、多くの困難に直面することとなりました。

まとめ

陸軍少年飛行兵制度は、日本陸軍の航空部隊における重要な人材育成の場でした。教育を受けた少年たちは、多くが戦争に伴う厳しい現実を経験し、その歴史は現在に至るまで語り継がれています。若年層に対する教育方針はその後の航空関係の学びに大きな影響を与え、戦後の航空教育体制の基盤ともなりました。

もう一度検索