李特

李特の生涯と業績

李特（り とく）は、西晋末期に流民集団の首領として活躍し、事実上の成漢建国者とみなされています。彼の出身は略陽郡臨渭県で、巴氐族に属する一族の中で育ちました。彼の背景には、父李慕と兄弟たちがありました。

巴蜀への避難

李氏は巴氐族の中でも有力な家系であり、若い頃から州郡に仕えていました。296年、氐族の反乱に伴い、関中地域は混乱に陥ります。そして、その後も続く飢饉によって民衆は困窮を極めました。298年末には、食糧を求める流民たちが南へ移動し、李特もその中にいました。彼と彼の兄弟は、飢えや病に苦しむ人々を助けることで人々からの信頼を得ました。

流民たちは漢中に辿り着き、巴・蜀への移動を願い出ました。しかし、朝廷は彼らの要請を却下し、流民たちは監視されることになりました。その中で、流民の代表的な者が賄賂を贈り、その見返りとして謝絶されていた許可を得て、彼らはついに益州へ向かうことができました。

趙廞の乱

300年、益州刺史の趙廞が独立を企て、流民に食糧を分け与えることで彼らの支持を集めました。李特はその武勇で知られ、特に趙廞から重用されましたが、彼の行動は流民たちから恨まれることとなりました。

趙廞は瞬く間に権力を握ると、李特の弟である李庠を懐疑し、彼を殺害しました。李特は弟を失ったことから趙廞に対する怨恨を抱くことになりますが、彼は決断を下し、力を蓄え反撃を開始します。兵を集め、夜襲を掛けた結果、流民たちは見事に趙廞の軍を打破しました。これが彼の名声を大きく高めることとなります。

羅尚との対立

趙廞の乱が収束すると、朝廷は羅尚を送り込み、流民たちへの管理を強化しました。李特は羅尚の到来を恐れ、贈り物を持って出迎えることで関係を保とうとしますが、彼には裏があり、流民たちへの処罰を画策していました。結局、流民たちは李特に結集し、彼を首領と仰ぎます。

その後、李特は羅尚に対して次々と勝利を収めていき、成都を目指し進軍します。が、王権を固める一方で、民の心を掴む施策を実行していきました。彼は窮民に対し施しを与え、行政を平易にし、武力によらない治世を築いていきます。

最後の戦い

太安元年、朝廷は李特討伐のために大軍を派遣しました。羅尚の軍は士気が高く、李特は一時的な優位に立つものの、油断から敗北を喫してしまいました。李特は逃げる途中で敵軍に包囲され、戦死します。残された弟や家族は彼の後を継ぎ、流民たちの期待を背負うことになります。

李特の人物像

彼は八尺の身長を持ち、武勇に富んでいたとされています。若い頃から他者の力量を見抜く目を持ち、流民の首領として民の信頼を受けていました。彼の言動は当時の人々に深く影響し、支持を集めることができたのです。李特の子孫は後に世を掌握し、彼は景王として後世に名を残すこととなりました。彼の誇り高き生涯は、多くの人々に影響を及ぼし、歴史に名を刻むことになりました。

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