略陽郡

略陽郡（りゃくようぐん）

略陽郡は、中国にかつて存在した郡であり、おおよそ現在の甘粛省天水市周辺と、陝西省漢中市の一部にまたがる地域に、晋代から隋初にかけて設置されていました。その歴史は後漢末期に遡り、広魏郡という名前で存在していました。

歴史

略陽郡の前身は、後漢末に立てられた広魏郡です。この広魏郡が、西晋の泰始年間に略陽郡と改称されました。この改称により、略陽郡としての歴史が始まったと言えます。

西晋時代

西晋時代の略陽郡は、秦州に属していました。当時の管轄地域は、臨渭（りんい）、平襄（へいじょう）、略陽（りゃくよう）、清水（せいすい）の4県でした。これらの県が、略陽郡の主要な構成要素でした。

南朝時代

時代が下り、南朝の宋の時代になると、略陽郡の管轄県は変化しました。具体的には、略陽、臨漢（りんかん）、上邽（じょうけい）の3県を管轄していました。この時期には、管轄する県の入れ替わりがあったことが伺えます。

さらに時代が進み、南朝斉の時代になると、略陽郡の管轄県はさらに縮小されました。この時期には、略陽、臨漢の2県のみを管轄するようになりました。管轄県の変遷は、その時代の政治情勢や勢力図の変化を反映していると考えられます。

北魏時代

南北朝時代を通じて、略陽郡の状況は変化し続けました。北魏の時代になると、安戎（あんじゅう）、綿諸（めんしょ）、隴城（ろうじょう）、清水、阿陽（あよう）の5県を管轄するようになりました。南朝時代と比較すると、管轄する県の構成が大きく変わっていることが分かります。

隋代

そして、582年（隋の開皇2年）に、略陽郡はその歴史に幕を閉じました。隋によって郡制が廃止されたことに伴い、略陽郡も廃止されることとなったのです。これにより、略陽郡という名前は歴史の中に消えることとなりました。

略陽郡は、後漢末から隋初にかけて、その名前と管轄地域を変えながら存続した郡でした。その変遷は、中国の歴史における地方行政制度の変化や、各時代の政治情勢を反映するものと言えるでしょう。

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