李璮

李璮の生涯と李璮の乱

李璮（り たん、? - 1262年8月6日）は、モンゴル帝国において重要な役割を果たした漢人の世侯の一人です。彼の人生は、政治的混乱と叛乱による衝撃的な結末に彩られています。彼の父、李全は金末の混乱期において益都を中心に大軍閥を築き上げ、李璮はその後継者として期待されました。しかし、彼の運命は悲劇的に展開し、1262年に李璮の乱が起こることで、益都の軍閥も崩壊することになります。

前半生と益都の権力

李璮の小さい頃や若い時代に関する記録は非常に限られており、彼の出自については諸説あります。一部の史料によれば、彼は李全の実子であるという説と、衢州の徐氏から養子になったという説があります。李全は1231年、南宋に攻撃を仕掛けて戦死しますが、李璮はその後、どのようにして益都軍閥の長に就任したのかは定かではありません。1240年代には「大都督行省相公」として益都軍閥を指導していたと考えられています。

李璮の名が知られるようになるのは、モンゴル帝国の第4代皇帝モンケの治世のころです。1252年には、南宋から奪われていた海州を占領し、1257年にはモンケの南宋遠征軍に加わるよう命じられますが、彼は益都の防衛を重視し、任務を免れます。1259年にはモンケが急死し、その後国全体が帝位継承を巡る内乱状態に突入します。

李璮の乱の誘因

新皇帝クビライは、李璮を江淮大都督に任命しますが、李璮は彼の立場が脅かされる事態を恐れ、叛乱の計画を進めます。1261年の正月、南宋の宰相からの誘いに応じる形で、彼は反旗を翻す決意をします。彼の子息がクビライの下に質に出されていたため、李璮はその救出を密かに計画しました。彼の息子は無事に脱走し、李璮は反乱の準備を進めます。

1262年の2月3日、彼は南宋に漣水・海州の3城を割譲し、モンゴル軍を殺害してクビライに対して公然と叛乱を宣言しました。これに対し、南宋側では彼に高い官爵を授与し、反乱を全力で支援することとなります。李璮は益都から北上し、かつての拠点を奪還しますが、瞬く間に周囲の住民は彼に反感を抱くようになりました。これは彼が地域住民との関係構築を怠ったためだと言われています。

反乱の鎮圧

反乱の知らせを受けたクビライは、彼に対処するために主に同盟者の力を借りて戦略を考えます。反乱軍に対抗するため派遣された軍隊は李璮軍を打ち破り、彼は徐々に追い詰められていきます。最終的に、李璮は済南に籠城する事に追い込まれますが、彼の支配は次第に衰えていきます。

南宋の北伐軍も援軍を派遣しますが、モンゴル軍の巧妙な戦略に対抗できず、撤退を余儀なくされます。籠城していた李璮はついに失望し、家族を惨殺した後、湖に身を投げますが、水位が低く自ら死を選ぶことができず、結局捕らえられます。

李璮は捕虜となり、元軍の総司令の前で処刑される運命を辿りました。

このようにして「李璮の乱」は約半年で鎮圧されますが、彼の反乱によって漢人世侯の強大な軍閥の存在が脅威とされるようになり、その後の漢人世侯の解体政策に繋がる結果となります。この事件はモンゴルの華北支配の大きな転換点となり、歴史的意義を持っています。

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