李由

李由（り ゆう、? - 紀元前208年）は、秦末期の三川郡の地区を統治していた郡守で、父親は有名な宰相である李斯、弟も同じく李執であった。李由は父の影響を受けて育ち、将来は政治の中心に関わることが期待されていた。また、彼自身も秦王室との結びつきが強く、王室の公主と結婚していた。

経歴と三川郡守としての役割
李由は秦王朝から三川郡の郡守に任命され、治所である滎陽を守護していた。彼のもとでは民は比較的安定していたが、紀元前209年に発生した陳勝・呉広の乱により状況は一変した。中国全土が混乱に陥ったこの時期、李由は滎陽を守備することになったが、強大な反乱軍に直面することとなる。

反乱との戦い
二世元年の7月、陳勝と呉広が反乱を起こし、次第に各地の郡を攻撃し始めた。呉広は李由が守る滎陽に進軍し、包囲戦が始まった。李由はこの籠城戦を頑強に耐え抜き、滎陽を落城させられることはなかった。しかし、その年の11月、呉広の部下である田臧が章邯の軍によって討たれ、その後、章邯の進軍によって滎陽が解放されることとなる。

しかし、李由の指導力に疑問が持たれるようになり、彼は呉広の反乱を抑えきれなかったと糾問される。李由の父である李斯も、王朝内での権力闘争に巻き込まれ、同様に責任を問われていた。李由が守る三川郡は反乱者に対し臆する姿勢を取っていたとされ、それが彼の評価を下げる要因となった。

李由の戦死
同年8月、李由は隣接する郡の雍丘を攻めるべく軍を進めたが、そこでは反乱軍の主力である項羽と劉邦が待ち構えており、李由は激しい戦闘を強いられる。最終的に李由は劉邦の軍に敗北し、曹参によって命を落とす結果となった。この時、彼が三川郡守でありながら他の郡の反乱鎮圧に関与した理由は曖昧であり、様々な憶測がなされる。

悲劇的な結末
同時に、李斯は趙高の策動を恐れ、胡亥に訴え続けたが、結局彼自身が趙高によって捕らえられ、無実の罪で命を落とすことになった。李由も戦死した後、彼の一族は処刑され、その家族全体が悲劇に見舞われることとなる。このように、李由の短い生涯は権力闘争の中での悲劇的な物語であり、彼の戦いと父の異常な運命は、秦王朝の混乱を象徴するものであった。

もう一度検索