紀元前209年

紀元前209年は、古代世界の各地で重要な出来事が相次いだ年です。この年、共和政ローマでは、将軍クィントゥス・ファビウス・マクシムスがカルタゴの将軍ハンニバルに占領されていたタレントゥムを奪還しました。また、大スキピオはタラゴナを拠点にカルタヘナを攻撃し、これを占領。これにより、ローマは多くの人質や銀鉱山、さらには南方の侵略拠点を手に入れました。

一方、ハンニバル率いるカルタゴ軍とマルクス・クラウディウス・マルケッルス率いるローマ軍の間では、カヌシウムの戦いが行われましたが、この戦いは痛み分けに終わっています。

ペルシャでは、パルティアの王アルサケス2世がセレウコス朝の王アンティオコス3世に攻められ、領土を奪われた上、同盟を結ばざるを得なくなりました。ギリシャでは、アカイア同盟の将軍フィロポイメンが軍事力を強化し、エリスでアイトリア軍を破るなど、勢力を拡大しました。

中国では、秦の二世皇帝胡亥が東方の郡県を巡行し、その後、趙高の助言を受けて大臣や公子たちを粛清しました。この粛清では、12人の公子が咸陽で処刑され、10人の公主が杜で磔にされるという惨劇が起こりました。そして、この年の7月には、陳勝と呉広が蘄で挙兵し、陳勝は王を名乗り「張楚」を建国。その武将である周章が函谷関を陥落させたものの、章邯率いる秦軍に敗走しました。また、8月には武臣が自立して趙王を称し、9月には劉邦が沛で挙兵、項梁と項羽も呉で挙兵するなど、各地で反乱が相次ぎました。さらに、田儋が斉郡で挙兵し、二世皇帝は衛君角を庶人とし、衛の祭祀が絶える事態となりました。

匈奴では、冒頓単于が父の頭曼単于や継母、異母弟を殺害し、自ら単于に即位しました。

この年には、秦の公子である公子高や将閭、反乱指導者の陳勝、秦の臣である蒙毅、匈奴の単于であった頭曼単于などが亡くなっています。

紀元前209年は、各地域で政治的な変動や戦乱が勃発し、その後の歴史に大きな影響を与える出来事が多かった年として記録されています。

この年の出来事をまとめると、以下のようになります。

共和政ローマ: タレントゥムの再占領、カルタヘナ攻略。
ペルシャ: パルティアがセレウコス朝に敗北し、同盟。
ギリシャ: アカイア同盟が軍事力を強化し、アイトリア軍を撃破。
中国: 二世皇帝による粛清、陳勝・呉広の乱勃発。
* 匈奴: 冒頓単于がクーデターを起こし即位。

これらの出来事は、それぞれの地域でその後の歴史を大きく左右することになりました。紀元前209年は、古代世界が大きく変動した重要な一年であったと言えるでしょう。

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