李舜臣大橋

李舜臣大橋

李舜臣大橋は、大韓民国南西部、全羅南道に位置し、主要な工業地域である麗水市と光陽市を繋ぐ重要な交通路を担う四車線の吊り橋である。朝鮮語では「이순신대교（イスンシンテギョ）」と呼ばれ、その名称は、文禄・慶長の役（壬辰倭乱）において活躍した朝鮮王朝時代の武将、李舜臣に由来する。

特徴

この橋は複数の点で特筆すべき技術的偉業を示している。まず、橋の中央部分、主塔間の距離を示す中央支間長は1,545メートルに及び、これは韓国内の吊り橋としては最長を誇る。開通した2013年時点では、この長さは世界の吊り橋の中でも第4位という規模であった。また、橋を支える主塔の高さは270メートルにも達し、コンクリート製の吊り橋主塔としては世界で最も高い建造物として記録されている。さらに、船舶の安全な通行を確保するため、海面から橋の床板までの高さも80メートルと、これも韓国内では最も高い水準にある。

建設経緯

李舜臣大橋の建設プロジェクトは、麗水国家産業団地へのアクセスを改善するための道路建設工事の一部として計画された。2003年8月、当時の建設交通部によって事業化が決定され、全長2.26キロメートルの橋梁区間として具体化が進められた。当初の仮称は「光陽大橋」であったが、2007年2月に行われた全羅南道による名称公募の結果、「李舜臣大橋」という名称が正式に決定された。この名称は、建設地が李舜臣将軍が最期を遂げた激戦地として知られる露梁津に隣接していることに敬意を表したものである。加えて、橋の中央径間長も、当初計画されていた1,100メートルから、李舜臣将軍の生誕年とされる1545年にちなみ、これを記念する形で1,545メートルに変更されるという設計上の変更が行われた。建設は2007年11月15日に着工され、2012年の麗水国際博覧会の開催に合わせて、同年5月10日から8月13日までの期間限定で暫定的な開通が行われた。その後、最終的な調整を経て、2013年2月7日に正式に供用が開始された。

維持管理に関する出来事

開通後、李舜臣大橋ではいくつかの維持管理上の課題に直面している。周辺が主要な工業地帯であることから、大型車両の頻繁な通行や過積載などが原因となり、橋のアスファルト舗装面にひび割れが発生する事態が確認された。これに対応するため、2014年6月5日から同年10月にかけて、大規模な補修工事が実施された。この工事では、厚さ2.5センチメートルで敷設されていた既存のアスファルト舗装を全て撤去し、より高い耐久性を持つ厚さ5センチメートルのエポキシアスファルトによる再舗装が行われた。また、2014年10月26日の午後6時頃には、強風によって橋が大きく揺れるという通報があり、安全確保のために橋上の一時的な閉鎖措置が講じられた。緊急点検の結果、この揺れは、先の道路舗装工事に関連して橋上に設置されていた防風幕が、強い風を受けて振動したことが原因であると特定された。事態を受け、翌10月27日には問題の防風幕が撤去され、これをもって通行が再開された。これらの事例は、大規模な長大橋梁の維持管理における複雑さと課題を示している。

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