李重俊

李重俊（り じゅうしゅん）は、唐の中宗、李顕の三男として生まれました。彼の生涯は、皇位を巡る陰謀と権力闘争に翻弄された、波乱に満ちたものでした。

聖暦元年（698年）、李重俊は義興郡王に封じられ、その後、左衛大将軍に昇進し、揚州大都督を兼任するようになります。神龍2年（706年）秋には、皇太子に立てられます。しかし、彼は韋后の実子ではなかったため、韋后から疎まれ、猜疑心を抱かれる存在となります。さらに、安楽公主が皇太女の地位を狙うようになると、李重俊は自身の地位に強い危機感を覚えるようになりました。

追い詰められた李重俊は、神龍3年（707年）7月、ついにクーデターを計画します。左羽林大将軍の李多祚、右羽林将軍の李思沖、李承況、独孤禕之、沙吒忠義らと密かに結び、韋后、武三思・武崇訓父子、安楽公主、そして上官婉児といった、彼にとって危険な存在を排除しようとしました。しかし、実際に挙兵すると、彼の軍勢は玄武門で宮殿への侵入を阻まれ、計画は頓挫します。李多祚、李承況、独孤禕之、沙吒忠義らは戦死し、残された軍勢は潰走するという結果に終わりました。

クーデターに失敗した李重俊は、わずかな部下とともに終南山へと逃亡を図ります。しかし、中宗の命を受けた趙思慎の追撃を受け、ついに殺害されてしまいます。彼の志は、志半ばで潰えることとなりました。

その後、睿宗が即位すると、李重俊は節愍太子と追諡されます。これは、彼の悲劇的な生涯に対する、ある種の弔いとも言えるでしょう。李重俊の生涯は、唐王朝の皇位継承を巡る複雑な権力闘争と、それに巻き込まれた人々の悲劇を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

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