李鍾奭

李 鍾奭（イ・ジョンソク）

李 鍾奭、またの名をイ・ジョンソクは1958年5月11日に京畿道楊州郡（現南楊州市）で誕生した韓国の政治家であり学者である。彼は龍山高等学校を卒業後、成均館大学校で行政学を学ぶ傍ら、学生運動に深く関わり、80年代にはそのリーダーとして何度も逮捕されている。これらの経験が彼の政治思想に大きな影響を与えたことは間違いない。

大学卒業後、李は成均館大学校の大学院で政治外交学を学び、特に朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）に興味を抱くようになった。彼は「独立門研究会」のメンバーとして、北朝鮮に関する独自の研究を進め、過去には『北韓指導集団の抗日武装闘争の歴史的経験についての研究』や『朝鮮労働党の指導思想と構造変化に関する研究』といった著作も残している。

1994年、李は世宗研究所に加わり、そこで北朝鮮の政治や南北関係に関する専門的な研究に取り組むようになった。この時期、彼はメディアを通じて対北宥和政策を積極的に提唱し、1995年には統一院の政策諮問委員にも就任した。さらに2000年には『現代北朝鮮の理解』を発表し、当時の金大中政権が掲げる太陽政策を強く支持したことから、政府の要職に起用される流れとなった。特に、2000年の南北首脳会談では金大統領に同行し、平壌を訪れた。

その後、盧武鉉政権では国家安全保障会議（NSC）の事務次長として任命され、2006年2月には統一部長官となり、対北朝鮮政策の指揮を執ることになる。しかし、同年10月に北朝鮮が核実験を実施したことで、対北政策の見直しを迫られる事態となり、太陽政策の限界を露呈する。結果として彼は職を辞し、統一政権下での課題を抱えた。

2025年6月、李は李在明大統領により国家情報院長に指名され、後の国会情報委員会での人事聴聞報告書も採択される運びとなった。彼の政治哲学は、米韓関係と南北関係を韓国の二軸とし、敵対的な関係を脱却することが必要だと主張している。このため、南北間の交流促進と双方の政府間の親和性向上を強く提唱している。

また、李の発言には物議を醸すものも多くあり、日本の拉致問題に関しては冷淡な態度を示し、アメリカや日本に対して厳しい見方を持っている。彼は、国際情勢や歴史的な事象に関する独特の見解を持っており、保守と革新の対立から離れたアプローチを必要とするとの意見も反映している。

李と和田春樹との関係も注目されており、彼の政治思想や発言の根底には和田の影響が見て取れる。さらには、北朝鮮の行動に対しても独特の見解を持っており、時には批判を受けることもある。

総じて、李 鍾奭は韓国の政治シーンにおいて重要な位置を占める人物であり、彼の政策や思想は今後の南北関係のみならず、国際的な関係にも影響を及ぼすものと考えられる。

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