李陵容

李陵容（り りょうよう）

李陵容（351年 - 400年）は、東晋の簡文帝の側室であり、孝武帝の生母として歴史に名を刻んでいます。彼女の出自は明らかではありませんが、その生涯は波乱に満ち、奴婢から皇太后へと上り詰めた稀有な例として知られています。

生涯

李陵容の出自は不明であり、褐色人種であったと伝えられています。彼女は奴隷として織室で働き、「崑崙奴」と呼ばれていました。当時、会稽王であった簡文帝は、正室との間に息子をもうけましたが、その息子は廃嫡され、他の息子たちも早世しました。跡継ぎに悩む簡文帝は占いを行い、「後房の女性が2人の公子を産み、その一人が晋室を盛んにする」という予言を受けます。

簡文帝は術師に命じ、後宮の女性を探させましたが、適当な人物が見つかりません。そこで、術師は女婢にまで目を向け、織室にいた李陵容を見出しました。李陵容は簡文帝の側室となり、孝武帝となる司馬曜、会稽王となる司馬道子、そして鄱陽公主を産みます。占いの予言通り、李陵容は晋室を繁栄させる役割を担うことになったのです。

孝武帝の即位後、李陵容は淑妃、夫人と位を上げ、387年には皇太妃となります。さらに、394年には皇太后となり、その地位を確立しました。397年には、孫にあたる安帝の即位に伴い、太皇太后となりました。

400年、李陵容は建康の含章殿で崩御しました。文皇太后と諡号が贈られ、修平陵に葬られました。彼女の生涯は、奴婢から皇太后へという劇的な変化だけでなく、占いの予言と晋室の繁栄が深く結びついた、興味深い物語として語り継がれています。

子女

司馬曜（孝武帝）
司馬道子（会稽王）
鄱陽公主

伝記資料

『晋書』巻32 列伝第2 后妃下

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