李震 (明の軍人)

李震（り しん）

李震は、明代中期に活躍した武将です。生年は不明ですが、1486年に亡くなりました。彼の生涯は、数々の戦乱の鎮圧に捧げられ、その武勇と功績は明朝の歴史に名を刻んでいます。

生い立ちと初期の軍歴

李震は、都督僉事の李謙の子として生まれました。父の跡を継いで指揮使となり、1444年にはウリャンカイ征討に従軍し、その功績により都指揮僉事に昇進しました。その後も王驥に従って麓川の乱を鎮圧し、同知へと昇進を重ねます。

貴州での活躍

1449年、景泰帝が即位すると、李震は貴州右参将に任じられ、苗族の反乱を鎮圧する任務にあたりました。偏橋の戦いでは苗族を撃破し、1451年には王来に従って韋同烈を討伐しました。鎖児・流源の諸寨を破り、1600人を捕斬し、香爐山を攻略して韋同烈を捕らえるという大戦果を挙げ、都指揮使に進み、靖州の守備を任されました。しかし、後に罪に問われて一時的に北京に召還されます。

その後、方瑛が苗族の乱を討つことになると、李震は自ら志願し、軍功を立てることで罪を償うことを許されました。方瑛に従って天堂の苗族を破り、左参将に進みました。さらに銅鼓の反乱を鎮圧し、武岡に進軍して54の寨を攻略、多くの敵兵を捕斬し、都督僉事に昇進しました。

1458年には、方瑛に従い、貴州東方の苗族による干把豬の乱を鎮圧し、1459年には平蛮将軍・総兵官に任命され、貴州・湖広に駐屯しました。1460年、麻城県の李添保が反乱を起こすと、李震はこれを鎮圧し、李添保を捕らえて北京に送りました。また、西堡の苗族を破り、首領11人を捕らえ、359人を斬るなど、各地で反乱鎮圧に奔走しました。

瑶族・僮族との戦い

1461年、李震は城歩の瑶族・僮族を掃討し、広西西延にまで進軍、広西の官軍と合流して十八団の瑶族を撃破しました。その後、貴州の管轄を李安に引き継ぎ、湖広駐屯に専念します。1462年には、錦田・江華から雲川・桂嶺・横江の諸寨を攻撃し、瑶族の反乱軍を破って2800人余りを捕斬しました。1463年には、李安とともに苗族が占拠した赤渓湳洞長官司を奪回しました。

1464年、広西の瑶族が湖南に侵入すると、李震はこれを追撃し、1000人以上を捕斬しました。1465年、靖州を守備し、その後、貴州を兼領することになりました。ほどなくして、反乱の首領である苗蟲蝦を捕らえるなど、目覚ましい活躍を続けています。

劉千斤・石和尚の乱

荊州府・襄陽府で劉千斤と石和尚が反乱を起こすと、李震は討伐軍を率いて進撃しました。一時敗北を喫し成化帝の譴責を受けますが、白圭らの援軍を得て、南漳から兵を進めて反乱軍を撃破し、乱を鎮圧しました。1467年、その功績を認められ、右都督に昇進しました。

晩年の活躍と失脚、そして復権

武岡・沅靖・銅鼓・五開の苗族が蜂起すると、李震は貴州を遠隔地から統制するのは困難であると進言し、湖広に専任することを認められました。銅鼓・天柱から四道に分かれて進軍し、反乱軍を連破、2ヶ月間で800箇所の根拠地を破り、3300人を捕斬しました。広西の瑶族が桂陽府を襲撃すると、これを攻撃して3800人余りを斬りました。この頃、李震の威名は西南に轟き、苗族や僚族からは「金牌李」と畏怖されました。

1471年には、項忠とともに流賊の李原を討って鎮圧し、90万人の流民を招撫しました。1472年には、左都督に進みました。1475年、苗族が再び武岡・靖州を侵犯すると、李震は巡撫の劉敷らとともに五道に分かれて進軍し、620以上の寨を破り、8500人余りを捕斬し、捕らえた反乱者の妻子は万を数えました。1476年には、その功績により興寧伯に封じられました。

しかし、1477年、参将の呉経が李震を陥れようと、弟の呉綬を通じて汪直に讒言しました。汪直が項忠を失脚させようとしていたこともあり、李震は逮捕されて投獄され、爵位を剥奪されました。右都督に降格され、南京に蟄居させられます。その後、汪直の策略により、賄賂を通じているという濡れ衣を着せられ、北京に連行されることになります。

1483年、汪直が失脚すると、李震は復爵を訴え、1484年に興寧伯の爵位を回復しました。1486年8月29日、その生涯を終えました。

李震は、明代中期における重要な軍事指導者の一人であり、その生涯は戦乱の鎮圧と民の安定に尽くされました。彼の武勇と功績は、明朝の歴史に燦然と輝いています。

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