ウリャンカイ

ウリャンカイとは：歴史と文化の探求

ウリャンカイ（ウリヤンカイ）は、モンゴル高原北部に居住していた民族集団の一つです。この名称は時代や地域によって異なる民族を指し、その範囲は曖昧です。本記事では、ウリャンカイの起源から現代に至るまでの歴史、文化、そして彼らがモンゴル帝国やその後の時代に果たした役割を詳細に解説します。

ウリャンカイの起源と多様性

ウリャンカイの起源は、興安嶺周辺の森林地帯に住んでいた狩猟民であると考えられています。彼らはトナカイを飼育し、ツングース系の言語を話していた可能性があります。しかし、時代とともにモンゴル語の影響を受け、遊牧生活へと移行する者も現れました。

ウリャンカイという名称は、様々な民族を包括的に指すことがあり、その範囲は明確ではありません。『元朝秘史』には、モンゴル族の始祖であるアラン・コアの時代から、ウリャンカイの名が登場します。また、トゥバ共和国（タンヌ・ウリャンカイ）も、歴史的にウリャンカイと呼ばれる地域でした。

現代のモンゴル国内には、モンチューゴ・ウリャンカイ（トゥバ人）やアルタイ・ウリヤンカイ（オイラト）など、異なるウリャンカイの集団が存在します。これらの多様性は、ウリャンカイが様々な民族や文化と交流してきた歴史を反映しています。

モンゴル帝国におけるウリャンカイ

モンゴル帝国時代、ウリャンカイは「狩猟民ウリャンカイ族」と「遊牧民ウリャンカイ族」の二つに分けられました。『集史』によると、狩猟民ウリャンカイ族は、ヒツジやウシを知らず、皮製の覆いで生活していました。しかし、ヒツジの生育場所を探すうちに草原に進出し、遊牧民となったと伝えられています。

モンゴル帝国において、ウリャンカイ部出身者として有名なのは、チンギス・ハーンに仕えた「四狗」のジェルメとスブタイです。彼らは帝国の拡大に大きく貢献し、ウリャンカイの名を歴史に刻みました。

北元時代以降のウリャンカイ

1368年に大都が陥落し、北元時代に入ると、「ウリャンカイ」という名の集団が複数現れるようになります。チンギス・ハーンの墓を守護するウリャンカイ・トゥメンや、明朝に降伏したウリヤンハイ三衛などがその例です。

ウリャンカイ・トゥメンは、北元時代に新たに形成された軍事組織であり、元の部族との関係は不明瞭な点が多いです。しかし、ウリャンカイ部との直接的な関係があったと考えられています。

明朝に降伏したウリヤンハイ三衛は、朶顔衛、泰寧衛、福余衛の三つの衛所から構成されていました。しかし、実際にウリャンカイ人によって構成されていたのは朶顔衛のみであり、他の二つの衛所は異なる民族によって構成されていました。

李氏朝鮮におけるオランカイ

李氏朝鮮では、北方に居住する異民族の一部を「兀良哈（オランカイ）」と称していました。しかし、これはモンゴルのウリャンカイ部とは無関係な女直の一派であり、明朝からは野人女直、清朝からは東海三部と呼ばれた集団に相当します。

タンヌ・ウリャンハイ（トゥヴァ共和国）

現代のトゥヴァ共和国に相当する地域も、かつてはウリャンカイ（烏梁海）と呼ばれていました。この地域は清朝の時代にタンヌ・ウリャンハイとして組織され、ロシアの保護下を経て、ソビエト連邦に編入されました。

まとめ

ウリャンカイは、モンゴル高原北部に居住していた多様な民族集団の総称です。彼らは狩猟民から遊牧民へと生活様式を変化させ、モンゴル帝国の拡大に貢献しました。また、北元時代以降も、様々な勢力に組み込まれながら、その歴史を刻み続けています。ウリャンカイの歴史を紐解くことは、モンゴル高原の複雑な民族関係を理解する上で不可欠です。

もう一度検索