方瑛

方瑛（ほう えい、1416年 - 1460年）は、明代の軍人であり、その生涯は戦乱の中で武功を重ねたことで知られています。本貫は滁州全椒県にありました。

生い立ちと初期の軍歴

方瑛は、都督の方政と陳氏の間に生まれました。正統初年、彼は舎人として父に従い、麓川の征討に参加しました。1439年（正統4年）に父が戦死すると、方瑛は激怒し、自ら矢を放って父の仇を討ちました。この功績により、彼は蔭官として金吾右衛指揮使に任じられ、その後、父の死に対する功績が認められ、都指揮同知に進みました。

麓川の反乱鎮圧と昇進

1441年（正統6年）、方瑛は王驥に従い、麓川の反乱鎮圧に参加しました。6000の兵を率いて反乱軍の拠点に突撃し、これを制圧しました。この功績により、彼は都指揮使に進みました。1442年（正統7年）秋には、再び王驥に従い、貢章・沙壩・阿嶺の少数民族の反乱を鎮圧し、後軍都督府都督僉事に昇進しました。1447年（正統12年）には、右参将として雲南に駐屯しました。1448年（正統13年）には、再び王驥に従い麓川の反乱を鎮圧し、鬼山の大寨を破って雲南に戻りました。

貴州での活躍と苗族の反乱鎮圧

1450年（景泰元年）、方瑛は北京に召還され、都督同知に進みました。貴州で苗族の反乱が起こると、王驥が方瑛の派遣を求めました。4月、方瑛は右副総兵に任じられ、保定伯梁珤や侍郎侯璡とともに反乱軍を撃破し、右都督に進みました。さらに賞改の諸寨を破り、苗王を称する王阿同らを捕らえました。侯璡が死去すると、都御史の王来が軍務を監督することになり、官軍は香爐山の反乱軍を攻撃しました。方瑛は龍場から香爐山に入り、反乱軍を打ち破りました。

弾劾と不問、そして新たな戦い

1452年（景泰3年）秋、方瑛は法を犯したとして王来に弾劾されましたが、不問に付されました。王来が北京に召還されると、方瑛は貴州に駐屯して守備するように命じられました。その冬、白石崖の反乱軍を討ち、2500人を捕斬し、460の寨を降伏させ、左都督に進みました。1454年（景泰5年）には、四川草塘の苗族の黄龍・韋保が反乱を起こし、平天大王を自称して播州の西坪・黄灘を略奪しました。方瑛は巡撫の蔣琳と共に四川の兵と合流して掃討を進め、反乱者たちを捕らえました。兵を分けて中潮山と三百灘・乖西・谷種・乖立の諸寨を攻略し、王を称する谷蟻丁らを捕らえて、7000人あまりを斬首しました。この功績により、方瑛は南和伯に封じられました。

京営での軍務監督と湖広での反乱鎮圧

方瑛は北京に召還され、石亨とともに京営の軍務を監督しました。1455年（景泰6年）には、湖広の苗族が反乱を起こすと、方瑛は平蛮将軍に任じられ、京軍を率いてこれを討伐しました。御史の張鵬が方瑛の行軍の後を調査しましたが、方瑛が略奪を全く行っていなかったことを報告しました。

平渓衛の戦いとさらなる功績

1456年（景泰7年）、蒙能率いる反乱軍が平渓衛を攻撃し、都指揮の鄭泰らが迎撃しました。蒙能が火槍に当たって戦死すると、方瑛は沅州に軍を進め、鬼板など160あまりの寨を連破しました。尚書石璞とともに天柱に兵を転進させ、陳友らを率いて天堂諸寨を攻撃し、これらを撃破しました。270の寨を攻略し、侯や伯を称する者以下102人を捕らえました。1457年（天順元年）、英宗に勝利が奏聞されると、石璞は北京に召還され、方瑛は貴州・湖広にとどまりました。方瑛は蒙能の残党を討ち、銅鼓・藕洞の195寨を攻略しました。覃洞・上隆の苗族の首領たちを斬り、苗族の帰順を受け入れました。この功績により、爵位は南和侯に進められました。

晩年の戦いと死

1458年（天順2年）、東方の苗族の干把豬らが都勻衛などを攻撃しました。方瑛は巡撫の白圭とともに四川・湖広・雲南・貴州の軍と合流して干把豬らを討ち、600あまりの寨を攻略しました。1459年（天順3年）には、都勻衛などを掃討し、200あまりの寨を攻略し、3000人あまりを捕斬しました。1460年11月10日（天順4年10月28日）、方瑛は45歳で死去しました。諡は忠襄と贈られました。

方瑛の子である方毅が、南和伯の爵位を嗣ぎました。

参考文献

『明史』巻166 列伝第54
奉天翊衛推誠宣力武臣特進栄禄大夫柱国南和侯諡忠襄方公神道碑銘（李賢『古穣集』巻11所収）

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