村上三島

村上 三島（むらかみ さんとう）

村上三島は、1912年8月25日に愛媛県越智郡上浦町で生まれた著名な書家であり、2005年11月20日に93歳で天に召されました。本名は村上正一で、「三島」という雅号は故郷である大三島と、後に移り住んだ三島郡に由来しています。彼は「現代書道の巨匠」として名を知られ、勲三等旭日中綬章や文化勲章を受章したことでも知られています。

教育と出発点

村上は中学校時代から書に興味を持ち、特に大阪市立泉尾工業学校在学中に股関節カリエスを罹患し、15歳で本格的に書道に専念しました。1927年に片山萬年に、1945年には辻本史邑に師事し、書道技術を磨いていきます。その後、1948年に日展書道部門が新設されると、彼は「杜甫九日詩」を発表し入選。同年、そして1949年と1952年には特選に選ばれるなど、彼の才能は注目を集めていきました。

受賞歴と功績

村上は1964年に日展文部大臣賞を受賞し、1968年には「杜甫贈高式顔詩」で日本芸術院賞を獲得しました。更に日展の常務理事や日本書芸院理事長を歴任し、自らの団体「長興会」を設立して後進の指導にも尽力しました。彼は書道の革新を目指し、1994年には「読める書」を提唱、1995年には読売書法展に調和体部門を設置し、書道の普及と発展に貢献します。

国際的な交流と活動

村上はまた、日中間の書道交流にも情熱を注ぎ、中国を訪れてはその文化を学びました。1993年には上海美術館の特別顧問・特別研究員に就任し、中国以外の人間として初めての大役を果たしました。書道界における彼の活動は、日本国内外で非常に評価されました。

後進への影響と晩年

彼は1985年に日本芸術院の会員になると、1998年には文化勲章の栄誉を受け、その後故郷の大三島に作品を寄贈。旧上浦町には村上三島記念館が建設され、彼の業績を今に伝えています。村上三島は手書き文字の重要性を理解し、パソコンの普及にも取り組んだ晩年でした。彼の多様な書風や独自の技法は、書道界において大きな影響を与え続けています。

書風と著書

村上の書風は、伝統的な中国書道に基づきつつも、王鐸の草書連綿体を研究し、篆書、隷書、楷書、行書、草書を駆使することで、躍動感と温かさを兼ね備えた魅力的なスタイルを確立しました。彼の著作には「書とともに」「王鐸の書法」「三島條幅百選」「現代書道教室」などがあり、書道に対する深い見識と愛情が反映されています。

このように村上三島は、日本書道の発展に寄与し、後世にその業績を築いた偉大な人物であると言えるでしょう。

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