村井家住宅 (青森県南部町)

青森県三戸郡南部町に位置する村井家住宅は、大正ロマンの香りを今に伝える貴重な建築物です。青い森鉄道三戸駅の駅前通りに面しており、その存在感のある佇まいは、訪れる人々を魅了します。

建築の特徴

木造2階建て、擬石モルタル仕上げの主屋は、建築面積144平方メートル。1923年（大正12年）に、東京の遠藤氏によって設計されました。関東大震災直後という資材調達が困難な時期であったため、関西経由の建材や、村井氏が経営していた製材所を通じてアメリカから輸入された米松なども使用されています。

外観は洋風の要素が強く、特に目を引くのは、幾何学模様が施された玄関庇とその上部に設けられた屋根窓です。屋根はL字型で、マンサード風の妻面を見せるという特異な形態をしており、正面の妻壁には3連アーチ窓が配されています。全体としてセセッション風の意匠が取り入れられており、当時の建築様式の影響を色濃く反映しています。

内部は、2階道路側に唯一の洋間がある以外は、すべてが落ち着いた雰囲気の和室となっています。外観の洋風な印象とは異なり、内部は日本の伝統的な住居様式を踏襲しており、和洋折衷の独特な空間が広がっています。

文化財としての価値

村井家住宅は、その歴史的・文化的な価値が認められ、2007年（平成19年）7月31日に国の登録有形文化財に登録されました。大正時代の建築様式を今に伝える貴重な遺産として、保存・活用が期待されています。

アクセス

所在地：青森県三戸郡南部町大字大向字泉山道48-4

交通アクセス：青い森鉄道三戸駅より徒歩1分

※現在、村井家住宅は非公開となっております。

村井家住宅は、外観の洋風なデザインと内部の和風な空間が融合した、他に類を見ない独特の建築物です。その意匠は、大正時代の建築技術や文化を伝える貴重な証として、高く評価されています。三戸町を訪れた際には、ぜひその外観だけでもご覧になってみてください。当時の繁栄と、建築に込められた職人たちの熱意を感じ取ることができるでしょう。

関連情報

青森県歴史観光案内所 - 村井家住宅
青森県 - 村井家住宅主屋

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