村井宿

村井宿：北国西街道の面影を偲ぶ宿場町

長野県松本市村井町南に位置する村井宿は、北国西街道、別名善光寺街道、善光寺西街道の重要な宿場町として、江戸時代を通じて賑わいを見せていました。洗馬宿から数えて2番目の宿場であり、現在のJR村井駅周辺にあたります。

村井宿の起源は慶長19年（1614年）頃まで遡ります。小笠原氏の家臣である村井氏の居城、村井城の跡地近くに開設されたと伝えられています。宿場町としての歴史は長く、元禄8年（1695年）には82軒もの家々が立ち並び、その中には15軒もの旅籠も存在していました。南北5町9間という規模を誇り、上町、中町、下町と地域が区分され、南端には神明宮が鎮座し、北端は鉤の手状に曲がった独特の形状をしていたと記録に残されています。

宿場町としての機能に加え、村井宿は松本藩と天領（塩尻代官所）の境界に位置していたという地理的特徴を持っていました。そのため、通行の管理や税関としての役割を担う口留番所が設置されていました。後に天領が松本藩預地となると、口留番所は本山宿へと移転しました。

残念ながら、現代においては当時の宿場町の面影は多くが失われてしまっています。しかしながら、往時の賑わいを偲ばせる史跡や建造物がいくつか現存しています。

史跡・みどころ

本陣「中村家」跡: 宿場町の重要な施設であった本陣の跡地。当時の様子を想像させる貴重な史跡です。
問屋「山村家」跡: 問屋は、宿場町における商業の中核を担っていました。その跡地は、当時の経済活動を物語る重要な場所です。
神明宮（現在は村井広場）: 宿場の南端に鎮座していた神明宮は、現在では村井広場として整備されています。当時の面影は少ないものの、宿場町の歴史を感じさせる場所です。
口留番所跡（神明宮脇）: 松本藩と天領の境界に置かれ、通行の管理や税関としての役割を担っていた口留番所の跡地です。

アクセス

村井宿へのアクセスは良好です。
長野自動車道塩尻北インターチェンジから車でわずか5分と、車でのアクセスも容易です。
JR篠ノ井線村井駅がすぐ隣に位置しており、電車でのアクセスも非常に便利です。

周辺の宿場町

村井宿は、善光寺西街道沿いに位置し、郷原宿と松本宿（松本城下）を結ぶ重要な位置を占めていました。
郷原宿：村井宿から1里12町（約5.2km）
松本宿（松本城下）：村井宿から1里20町（約6.6km）

村井宿は、往時の賑わいを知る手がかりとなる貴重な史跡をいくつか残しています。これらの史跡を訪れることで、江戸時代の宿場町の生活や文化を垣間見ることができるでしょう。静かな町並みに残された歴史の痕跡を探訪し、当時の旅人たちの息遣いを感じてみてはいかがでしょうか。

参考文献

* 「信州の文化シリーズ 街道と宿場」信濃毎日新聞社 1980年

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