村井長堅

村井長堅（むらい ながかた）は、1697年に生まれ、1757年に没した、江戸時代中期に加賀藩で活躍した人物です。加賀八家の一つである村井家の6代目当主であり、藩の重役である年寄を務めました。

長堅は、元々は加賀藩の重臣、前田孝行の五男として誕生しました。その後、村井親長の養子となり、1711年に親長の死に伴い、村井家の家督と1万6500石の知行を相続しました。この時、長堅はまだ若く、藩政を担う上で、多くの困難に直面したと考えられます。

年寄として、長堅は加賀藩の藩主である前田吉徳、宗辰、重煕、重靖の四代に仕えました。藩主を支え、藩の政治に深く関与し、その手腕を発揮したとされています。特に、藩主の補佐役として、藩政の安定に尽力したと考えられます。

長堅の生涯において、養子縁組は重要な出来事でした。1748年には、藩主吉徳の六男である八十五郎を養子に迎えましたが、八十五郎の生母が毒殺未遂事件に関与した疑いで処罰されたため、養子縁組を解消しました。その後、吉徳の七男である健次郎（後の前田重教）を養子に迎える約束をしましたが、健次郎が藩主重靖の後継者となったため、この約束も解消されました。最終的に、1754年に実兄である前田孝資の三男、長穹を養子として迎えました。これらの養子縁組の経緯からは、藩内の複雑な人間関係や、藩主家の後継者問題が垣間見えます。

1755年、長堅は従五位下、豊後守に叙任されました。これは、長堅の藩への貢献が認められたことの証と言えるでしょう。しかし、その2年後の1757年、長堅は61歳でこの世を去りました。家督は養子の長穹が相続しました。

村井長堅は、加賀藩の重臣として、激動の時代を生き抜いた人物でした。藩主への忠誠を誓い、藩政に尽力した一方で、養子縁組や藩内の出来事に深く関わり、その生涯は波乱に満ちていました。彼の人生は、江戸時代の藩主と家臣の関係、そして藩社会の複雑さを物語るものと言えるでしょう。

参考文献
* 東京大学史料編纂所「加賀藩史料」

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