村山有

村山有：ジャーナリスト、ボーイスカウト運動への貢献、そして切手収集家

村山有（むらやま たもつ、1905年12月24日 - 1968年12月31日）は、アメリカ合衆国シアトルで生まれ、日本のジャーナリストとして活躍した人物です。早稲田大学講師を務める傍ら、ソルトレイク市名誉市民、ボーイスカウト日本連盟理事・相談役としても活動しました。

ボーイスカウト運動への貢献

村山は、ボーイスカウト運動の創始者ロバート・ベーデン＝パウエル卿の夫人オレブ・ベーデン＝パウエルや、その息子ピーターとも親交がありました。第二次世界大戦後の日本におけるボーイスカウト運動の復活に大きく貢献し、その功績は計り知れません。

終戦後、集会を行うことが禁じられていた少年団出身者を集め、「ボーイスカウトクラブの集い」を度々開催し、日本ボーイスカウト連盟復活の基礎を築きました。1948年1月3日には、占領下で国旗掲揚がまだ許されていない時期に、戦後最初に日の丸を掲げたボーイスカウトによる「日の丸行進」を実施しました。また、米国版の「ちかい」と「おきて」を翻訳し、規約等を作成。日本のスカウト章に「神鏡（八咫鏡）」を取り入れることについて、難色を示したGHQを説得しました。

1949年にはボーイスカウト東京都連盟が再結成され、理事長に就任。翌年には、三島通陽やボーイスカウト米国連盟 (BSA) の関係者らと共に、第一回指導者講習会を開催し、日本のボーイスカウト指導者養成に尽力しました。日本ボーイスカウトで最初の宗教章「仏教章」を設定したのも彼の功績です。

ジャーナリストとしての活動

長野県の旧制松本中学（現・長野県松本深志高等学校）で学んだ後、医師である母の住むサンフランシスコに渡米。サンフランシスコのローウェル・ハイスクール、ゴールデンゲート・ロー・カレッジを卒業しました。サンフランシスコ・クロニクル紙、同盟通信社、AP通信社などに勤務し、ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせました。1938年に帰国後、1941年の第二次世界大戦開戦直後には、NHK「ラジオ東京」の対連合軍向け放送要員として勤務しました。終戦後は、ジャパン・タイムズ社に入り社会部長、渉外部長を歴任しました。

切手収集家としての顔

村山は、切手収集家としても知られており、切手愛好家団体「東京切手会」を創立し、初代会長を務めました。また、日本スカウト切手協会 (NSOSS) 会長、世界スカウト切手協会 (SOSSI) 副協会長として、「全日本ボーイスカウト大会」記念切手（1949年）、「ボーイスカウト創始50周年」記念シール（1957年）の発行に貢献しました。著書には『世界のスカウト切手』（1965年、切手趣味社）があります。

フリーメイソンとの関わり

戦時中に弾圧され、解散させられていたフリーメイソン日本ロッジの再建に尽力したことや、フリーメイソンのメンバーであったという記録も残っています。

その生涯

1968年12月31日、ボーイスカウト世界会議に出席するため香港に向かう船上で心筋梗塞により死去。香港で荼毘に付され、翌1969年1月12日に東京・築地本願寺でボーイスカウト東京連盟葬が執り行われました。享年63。死後、従五位勲四等瑞宝章を受章しました。

村山の著作には、『修好事始』（1960年、時事通信社）、『アメリカ二世－その苦難の歴史』（1964年、時事通信社）、『ハワイ二世－屈辱から栄光へ』（1966年、時事通信社）、『終戦の頃－思い出の人びと』（1968年、時事通信社）、『日本のフリーメーソン』（1969年、東京ニュース通信社）などがあります。

村山有は、ジャーナリストとして、ボーイスカウト運動の推進者として、そして切手収集家として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、日本の社会に大きな足跡を残しました。

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