村岡博人

村岡 博人

（むらおか ひろと）

村岡 博人は、ジャーナリストであり、かつてサッカー選手として日本代表でも活躍した人物です。1931年9月19日、現在の東京都文京区にあたる東京府小石川区で生まれました。父は東京高等師範学校の教授、母は山脇高等女学校の教師という家庭に育ちました。

生い立ちと教育

1944年に東京高等師範学校附属国民学校（現・筑波大学附属小学校）を卒業し、東京高等師範学校附属中学校（現・筑波大学附属中学校）へ進学しました。しかし、翌1945年5月には空襲により小石川区の自宅が全焼。山口県玖珂郡高森町（現在の岩国市）にある父の実家へ疎開しました。終戦後、生活の拠点を千葉県内へと移しています。中学時代は当初剣道部に所属していましたが、後にサッカー部へと転じました。1947年の学制改革に伴い、所属する中学校が東京教育大学附属高等学校（現・筑波大学附属高等学校）に改称。村岡氏は1950年に同高校を卒業しました。

サッカー選手としてのキャリア

1950年、東京教育大学に入学すると、蹴球部に所属しゴールキーパーとしてプレーしました。在学中の1953年には、後に日本サッカー界で要職を担う長沼健氏や岡野俊一郎氏らと共に、日本学生選抜の一員として西ドイツのドルトムントで開催された国際大学スポーツ週間（ユニバーシアードの前身大会）に出場しています。

大学を卒業後、1953年に共同通信社に入社しましたが、サッカー選手としての活動も継続しました。1954年には日本代表に選出され、同年3月7日に行われたFIFAワールドカップ・予選の韓国代表戦、そして同年5月1日のアジア競技大会におけるインドネシア代表戦の国際Aマッチ2試合に出場しました。このインドネシア戦が現役最後の出場となり、選手としてのキャリアに事実上終止符を打つこととなりました。

所属クラブ

東京高等師範学校附属高等学校（現・筑波大学附属高等学校）
東京教育大学/教大クラブ

日本代表歴

出場大会: 1954 FIFAワールドカップ・予選、1954年アジア競技大会
国際Aマッチ: 2試合出場（1954年）

ジャーナリストとしての活動とサッカー界への貢献

共同通信社では、運動部を皮切りに社会部、政治部といった幅広い分野で記者として活動しました。1991年9月の定年退職まで同社に勤め上げた後も、報道の世界に身を置き続けます。北海タイムスでの仕事を経て、同社が廃刊した1998年9月以降は、宮崎日日新聞社や東京メトロポリタンテレビジョンと契約を結び、取材・執筆活動を継続しました。

現役引退後もサッカーとの関わりは深く、ジャーナリストとしての視点からサッカー文化の普及・発展に貢献しました。創刊間もない1966年のサッカーマガジンにコラムを寄せたほか、サッカーに関する多くの著作や翻訳を手掛けています。

著書・訳書

村岡博人『これがサッカーだ』至誠堂、1966年。
アルパド・チャナディ 著、村岡博人 訳『チャナデイのサッカー』ベースボール・マガジン社、1967年。
* デットマール・クラマー 著、麻生武治、村岡博人 訳『クラーマーのサッカー上達法 みんな一流プレヤーになろう』講談社、1970年。

また、1971年にはJSL東西対抗戦の前座として行われた日本代表経験選手による試合にも参加するなど、積極的にサッカー関連のイベントに顔を見せています。

晩年

2017年3月13日、急性心不全のため東京都小平市内の病院で死去しました。享年85でした。サッカー選手とジャーナリストという二つの顔を持ち、それぞれの分野で確かな足跡を残した生涯でした。

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